月刊ゴルフマネジメント10月号で、ゴルフをやっていない(中断を含め)人の中で、今後ゴルフを始めたいと思っている人がどんな人なのかを、どれほどの人口規模になるのかをスポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査(令和2年)」の生データからピックアップしました。
この将来のゴルフ人口を構成するであろう潜在需要は全人口の3%前後、ゴルフコースでは300万人規模の巨大で安定した需要層を構成しています。そして10代から30代の若い世代で参加希望が高く、20代男性は世代人口の7.7%、女性も3.9%と業界が求める若い世代で高い需要の存在がはっきりとしました。ゴルフ練習場はさらにこの傾向が強くなっています。
ではこの高い潜在需要がなぜプレー需要として顕在化していないのか。ゴルフをしたいというニーズは確実におあるわけですから、彼ら/彼女たちの”こんなゴルフがしたい”というウォンツに業界がどう応えるかだと思います。限られた人たちのゴルフから、誰もが楽しめるゴルフとして普及を進めるのであれば、ゴルフはこういうものだという既製服のような発想ではないゴルフの提案が必要ではないでしょうか。とはいえ、何でもありにはならないのがゴルフです。ルールはもちろん、必ずエチケットやマナーという課題を避けては通れない。しかし、2019年のルール改正は分かりやい内容にして、ゴルフ参入の障壁をなくそうという取り組みです。ゴルフの更なる普及には環境整備が必要だとR&AもUSGAも言っているわけです。
ところで、エチケットですが、ルール改正が行われる前の2016年のゴルフ規則には、その第一章に「エチケット」とあり、序文には「ゲームの歴史的な原則と精神、ルールが明確かつ包括的で適切であり続ける必要性、そして ルールが明確で、包括的で、適切で、適切なものであり続ける必要性、そして ゴルフがエチケットに則って誠実にプレーされることの重要性と また、ゴルフがエチケットに則り、誠実にプレーされることの重要性も考慮しています」と書かれていました。
2019年のルール改正では、序文でゴルフの基本原則と特徴を維持しと簡便な表現になり、ゴルフ規則の文面にエチケットという言葉はなくなりました。そして、第一章で、「規則に従い、ゲームの精神(The Spirit of the Game)の下でプレーします」と書かれています。改正前のゴルフ規則ではThe Spirit of Gameがゴルフの精神と訳されていたわけですが、ゴルフ規則でGame?と思われませんか。
R&AもUSGAや記事ではGame of Golfと書かれることが多く、つまり欧米人にとっては、ゴルフはゲームだという感覚です。少し青臭く、Gameをオックスフォード英英辞典で調べると、”an activity that you do to have fun, often one that has rules and that you can win or lose”とあります。ゲームとは、「楽しむために行う活動で、多くの場合、ルールがあり、勝ち負けがあるもの」です。ルールもあり勝ち負けもあるからゴルフはゲームということです。ついでですが、エチケットは、「社会、特定の職業、または特定の活動分野のメンバーの間での正しい、または礼儀正しい行動の公式ルール」とオックスフォードの辞書には書かれていて、マナーは「特定の社会や文化で礼儀正しいとされる行動」とあります。エチケットは礼儀で、マナーは礼儀正しい行動ということです。
さて、ゴルフの普及には考えなくてはいけない課題がいろいろあると思います。USGAはゴルファーの欲求、ゴルフに求めているウォンツの調査を行っています。USGAやR&Aの最近の取り組みを見ると、ゴルフの更なる普及と発展には柔軟な発想が必要なんだと思います。
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