月刊ゴルフマネジメント2023年11月号

 ゴルフへの個人消費が好調を維持しています。本当は”なぜ”を見つけないといけないのですが、なぜ好調なのかよくわかりません。ゴルフ場での消費は好調と言えますが、ゴルフ練習場の利用に陰りが見えます。マーケットの量的拡大は終わったのでしょうか?ゴルフ場の利用が想定内(?)に好調であっても、ゴルフ練習場の利用が減衰しているのは、一つには新規ゴルファーの創造がうまくいっていないのかもしれません。

 ゴルフ場の利用が好調なのだから”これでイイのだ”とはならないのがマーケットです。考えなくてはいけない理由の一つが経済成長の源泉である人口問題です。少子高齢化で人口の減少は政策の失敗か、日本人の選択の結果かわかりませんが、ことゴルフに関しては衰退するゴルフ場の利用者状況を下支えしてきたのが高齢者のゴルフ需要です。戦後の高度成長期にゴルフの大衆化が一気に進み、中高年のサラリーマンを核にゴルフ人口を増やしてきました。また、戦後の個人消費のリーダーだった団塊の世代の存在も無視できません。その団塊の世代が後期高齢者に仲間入りしています。

 ゴルフ市場規模は、ゴルフ人口✖プレー回数✖消費金額で表されますが。ゴルフ人口の減少をプレー回数を増やすことで何とか維持してきたのがこの失われた30年の実態です。そして、元気な高齢者が確かに増えていますが、元気に運動できるのは多くの人にとって70代までのようです。スポーツ庁の運動に関するアンケート調査も対象年齢は79歳までです。平均寿命は男性で81歳くらいですが、”健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”である健康寿命(男性)は約73歳です。ゴルフの運動特性から高齢者でも楽しめる期間が長いのですが、それでも限界はあります。そろそろ”ゴルフは18ホール回ってなんぼ”という固定観念を捨てる時期だと思いますが、いずれにしても、団塊の世代のいる70代の動向にもっと注目すべきです。

 あるマーケッターが「新規にゴルファーを育成するより、既存のゴルファーの利用度を上げる、休眠している元ゴルファーをマーケットに呼び込む方が楽だし、費用対効果も高い」と言ってました。長くゴルフを続けてもらう対策を実施していますか?考えていますか!そろそろ科学的な視点でゴルフマーケットの運営を考えませんか。ということで、ちょっとだけ、高齢者人口とゴルフ消費についてまとめてみました。

GM2311_ヘウレーカ

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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