ゴルフ・データテック社の6月のラウンド数レポートによると、ゴルフプレーは全国的に13.9%の堅調な増加となりました。6月はプレー需要の多い月でありますが、この数値は2019年6月実績よりも約700万~800万ラウンド多いラウンド数に相当します。
コース運営者にとっては、これは運営収入が4億ドルも増加することを意味します。この増加は、プレー料金と会費(カートを含む)を含んでいますが、プロショップの商品販売、飲食店、指導、施設でのイベントやその他のプログラムからの収入は含まれていません。そうした収入の一部またはすべてが、団体や屋内での集会に対する地域や州の安全規制の影響をまだ受ける可能性があります。
6月のプレーは米国本土の全ての州で増加し、アリゾナ州(29%増)、フロリダ州(25%増)、ジョージア州(24%増)、テキサス州(23%増)、ペンシルバニア州(22%増)、オハイオ州(21%増)などゴルフが盛んな州では20%以上のラウンド数の増加が見られました。
6月のプレー増加状況は、5月の6.2%増に続くもので、コロナウイルス関連でのコース閉鎖や健康への不安から2000万回以上のラウンドが失われた後の持続的な回復が続いています。米国のゴルフ場の半数以上が3月下旬から4月いっぱいは閉鎖されていました。今年後半の総ラウンド数が昨年と変わらないとすると、2020年は昨年の4億4,100万回を1%程度下回ることになります。
しかし、7月、8月と引き続き好調に推移すれば、春の大きな挫折があったにもかかわらず、その損失は相殺されるか、あるいは昨年を上回る可能性があります。それは年間ラウンド数のほぼ半分は5月から8月にプレーされているからです。
2020年の上半期を通じ、全国のラウンド数は1年前の同時期に比べて1.7%減となっている。
しかし、今年の前半は不思議なことになっています。
ずいぶん昔のことのように思えますが、2020年のゴルフは非常に良いスタートを切りました。季節外れの暖かな天候のおかげで、一般的にはまだシーズンに入っていない地域でのゴルフのスタートが早かったのです。1月と2月にプレーされたラウンドが2桁の伸びを示し、3月に入って15%増加しました。しかし、コロナウイルスとそれに伴うシャットダウンにより、シーズンの本当のスタートは打撃を受け、3月(9%減)と4月(42%減)の減少により、昨年の同程度のラウンド数合計より16%も少なく始まりました。
金額ベースでは、3月と4月の2,000万ラウンドの損失は、ゴルフ場の収入だけで約10億ドルの損失と見積もられています。これには、F&B、小売販売、イベントなどの関連損失は含まれていません。
上記のグラフでは、NGFの年間ラウンド数予測を「ニュートラル」(2020年の後半が2019年と同じと仮定)にした場合、業界はわずか1%の減少で1年を終えることが予測されており、これは2カ月前の大方の予測よりもはるかに上方修正された結果となっています。
下半期が2019年を5%上回ると仮定した、より楽観的な予測では、3月中旬には誰も考えなかったであろう、昨年実績を約2%上回るラウンド数になる要則です。もちろん、天候やウイルスの影響で下半期が減少になる可能性もありますから今後も注意が必要です。
ジュニアの参加率が急増
NGFの今年半期での調査によると、今年はジュニアゴルファー(6~17歳)の人数が20%も増加する可能性があるとの見方が出てきました。昨年は約250万人の子供たちがゴルフコースでゴルフを楽しみましたが、年末までには50万人のジュニアゴルファーがCOVID-19に関連して増加する可能性があります。
2020年の第1四半期(1月、2月、3月)段階では、ジュニアの動向は比較的普通の数字であり、実質的な変化は見られなかったのですが、第2四半期では、最新の解析では上昇が著しいという結果が出ています。
コロナウイルスが猛威を振るう中、ゴルフはあらゆる年齢層にとって安全で健康的な野外活動として祝福されているのですから、この流れは理にかなっています。多くの青少年スポーツが一時的に中断されたり、徐々に復活したりしている中で、特に学校が休みになったことで、家族で一緒にできる活動を多くに人々が求めている中で、ゴルフは素晴らしい活動として浮上してきました。私たちのデータはまた、これらの初心者は実際には通常よりも少し若いかもしれないことを示唆しています。女子の数が増加し、そして私たちが日頃見慣れているのと同じくらいに人種/民族の多様性(〜25%の非白人)が見られます。
さて、日本では
同じような内容のメールがNGFの社長兼最高経営責任者、ジョセフ・F・ベディッツ博士から届いているわけですが、いつもながら現状分析と短期的な予測を米国ゴルフ業界のリーダーは語ってくれます。ただでさえゴルフを取り巻く環境が厳しい上に、新型コロナウイルスによってさらに難しい対応に迫られています。だからこそ、業界をリードする団体、そして代表者はゴルフ業界全体に対して広くメッセージを発信すべきだと思います。ゴルフ界全体の話をしている時に、自分たちの利益を優先することは決して産業振興につながらないと思います。
さて、前回もNGFの手法をまねて同じような分析をやりました。経産省の特定サービス産業動態調査のデータを元に、6月以降が昨年同数で推移した場合①と、毎月5%の利用者数増加②の前提で計算すると以下の図のようになります。
①の場合は前年対比11.5%減です。②に場合は3.6%減という結果です。事業所の規模によりますが、毎月100人から200人の利用者増は結構ハードだと思いますが、この程度増えないと結果は厳しいものがあります。
ここで当たらないかもしれない予測をなぜするかですが、厳しい中で予算計画を達成するためには営業政策(対策)を逐次状況に合わせて手直しするための目標決定にためであることは言うまでもありません。無理は予算変更ではなくて実行可能な計画変更には、できるだけ実情に合わせた計画策定が不可欠です。
さて、大手のPGMは月次の営業報告を発表しています。6月の資料を見ますと同社の第1四半期(4~6月)の利用者数は既存店ベースで対前年同期19.3%減です。5月が23.2%減でしたが6月は16.7%減へと改善しています。
特定サービス産業動態調査も傾向は同じです。徐々に回復しているようですが、まだ厳しい状況にあると言えます。一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)も加盟ゴルフ場の利用者数の把握をしていますが、厳しい数字が出ています。
速報値の公表データとしては特サのデータしかありません。このデータと自社の数字を比較対照して、自社の置かれている状況を確認する必要があると思います。何かヒントが見つかるかもしれません。