特定サービス産業動態統計調査9月報告より
特定サービス産業動態統計調査(特サ動態調査)8月分の確報値が発表されました。新型コロナウイルスによる影響からゴルフ利用はいち早い回復が伝えられていますが、特サ動態調査の数値も8月はプラスに転じました。それも前年同月対比で10.0%の2桁増を記録しました。売上高もプラスにはなりませんでしたが前年同月並みと回復の兆候を見せています。
ゴルフ場マーケットは回復へと動き出していますが、利用状況を会員と非会員の利用状況をまとめました。3月に始まったゴルフ場の利用への新型コロナの影響は、非会員の利用が大きく減少し、会員の利用も減少しましたが減少率は非会員より低く推移し、5月からの回復への動きは会員の利用が利用増をけん引するように右肩上がりで増加へと動いています。ゴルフ場の集客のベースはやはり会員だったという結果になっています。会員対策の重要性を改めて示す結果でもあると言えます。
平日と土日・祝日別での利用では、土日・祝日での減少が大きく、前年同月実績を上回った8月も平日の増加率が土日・祝日の増加率を上回っています。これは平日と土日・祝日の充足率との関係もあると思われますが、高齢ゴルファーの増加で平日の利用へと利用形態が転換している可能性もあります。こうした利用分析のためのデータの集積が必要です。
利用料金の低価格化は新型コロナウイルス発生前の1、2月は歯止めが掛かり客単価(単純平均)は上昇の気配を見せていました。ところが3月以降は集客対策として価格政策が実施された(としか考えられません)結果、5月には前年同月比で22.0%減まで下がっています。6月以降客単価の減少率は改善されてきていますが、利用者数が好転したにも関わらず売上高が前年並みに留まっていたように、客単価は8月時点でも前年同月比で9.1%安くなっています。Go toキャンペーンの利用がゴルフ場でも始まっていますが、ゴルファーは割安感を感じているはずですが、割引価格が料金水準として捉えられてしまうと客単価の回復への障害となる可能性はあります。来年3月に終了するGo toキャンペーン後の対策を今から考えておく必要があります。
8月の利用者数の2桁増は9月以降の利用者増に期待を持たせますが、2000年以降の9~12月の最も多かった数字を当てはめて今後の利用者数を推測すると、2桁増が続くのですが1~12月累計では前年実績に届かないという結果になりました。Go toキャンペーンによる売上増が期待されますが、前年並みの売上げ確保は難しい状況のようです。
こうしたゴルフ場の状況に対して、ゴルフ練習場はいち早く7月に利用者数が9.1%増とプラスに転じ、8月も12.5%増と利用者数はゴルフ場を上まわるペースで増えています。9月以降が前年並みであれば年間累計は前年実績を下回りますが、7、8月の増加率平均10.8%の増加で推移するとすれば2%台の増加になります。練習場も客単価が下がっていますから、売上げは減収ということは考えられます。