1.ゴルフコースと練習場の両施設を利用する人は何割いる
ゴルファーの何割くらいがゴルフコースでプレーし、ゴルフ練習場で調整やスキルアップに取り組んでいるのだろうか? レジャー白書などではゴルフ人口をゴルフコースとゴルフ練習場に分けて発表している。社会生活基本調査ではゴルフコースと練習場を一つ括りにまとめて集計している。調査時期や調査機関が違うことから、比較対照が困難だった。誰が考えてもレジャー白書のゴルフコースと練習場の人口を足してゴルフ人口とすることは違うと考え、半分にすることも間違いだと知っていて、せめて両者の比率が分かれば、サンプル数の多い社会生活基本調査の数値を案分できないものかと考えていた。そもそも、両者の数値を同一に処理することに無理があるのだが、せめて、参考になる構成比率が欲しかった。
スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(令和元年)のローデータ(生の未処理データ)が発表されている。調査対象は18歳以上70歳代までの男女でサンプル数は男女合わせて2万人、男女の数はほぼ半数。このローデータから、過去1年間にゴルフをしたとする回答者のデータを再集計すると1,669のデータが得られ、サンプル全体に対するパーセンテージは8.3%になる。2016年の社会生活基本調査(10歳以上対象)でのゴルフ参加率は7.9%で、近い数値とも考えられる。男性のサンプル数は1,406、女性は263で、男性人口に対する男性ゴルファー比率は14.1%、女性は2.6%とレジャー白書との整合性もなんとなくいい感じの数字と取れそうな数値になる。そして、男女の比率は、84:16だった。いずれにせよゴルファー1,669人の調査という結構な人数の市場調査データといえる。
このデータから、①ゴルフコースと練習場の両方を利用した、②ゴルフコースしか利用しなかった、③練習場しか利用しなかったに分けて集計すると、①の両方を利用したのは60.1%、②のゴルフコースだけは25.2%、③練習場だけは14.7%だった。これが、ゴルファーのゴルフコースと練習場の利用分布ということになる。①と②を足せばゴルフコース人口で、②と③の合計は練習場人口である。
では男女で利用に違いはあるのか?
集計結果からは明らかな違いが見られた。
男性は、①に両方が63.1%、②のゴルフコースだけは25.2%、練習場だけが11.7%だった。全体との違いがあまりないのは、男性がゴルファーの84%を占めていることから差は出にくい。女性は①が44.1%、②は25.5%、③が30.4%だった。女性のゴルフコース利用が男性と比べてやや少なく、ゴルフコース利用者の12.9%となり、人口構成比と比べると3ポイント低くなる。ただしゴルフコースだけという比率は男女でほぼ同じで、ゴルフコースでラウンドできればイイやという人はともに4人に1人。
ゴルフという商品は、ゴルフコースでラウンドすることを最終消費(目的)とすると、練習場だけを利用している118万人がその内、ゴルフコースへと足を運んでくれることになる。そのためには練習を中断しないような仕組みを用意する必要がある。そのためには将来の有望な消費者をコースデビューできるようにゴルフコースや用品メーカ、ショップと連携して一気通貫のゴルファー育成プログラムを考える必要がある気がする。