パーキンソン病患者に最も効果のある運動といわれる太極拳と比較して、ゴルフが上位に食い込む可能性があります。
これは、本日2021年3月3日に発表された予備研究結果であり、2021年4月17日から4月22日まで開催される米国神経学会の第73回年次総会で発表される予定です。この研究では、ゴルフが太極拳よりもバランスと運動能力の向上に優れていることがわかりました。
本研究の発表者であるマサチューセッツ総合病院(ボストン)のアン・マリー・A・ウィルズ(Anne-Marie A. Wills)医学博士(米国神経学会会員)は、「パーキンソン病患者は運動が有効であることがわかっていますが、治療として十分な運動を行っている人は多くありません」と述べています。「ゴルフは、55歳以上の人々に最も人気のあるスポーツであり、人々がゴルフに挑戦し、継続してプレーすることを推奨されるかもしれません。太極拳はパーキンソン病患者のバランスと転倒防止のためのゴールドスタンダードであるため、今回の研究ではゴルフと太極拳を比較することにしました」と述べています。
この研究では、中等度のパーキンソン病患者20人が参加しました。全員にゴルフか太極拳を週2回、1時間のグループレッスンを10週間のプログラムを無料で提供しました。対象者のうち8人はゴルフ練習場でゴルフスイングの練習をし、12人は太極拳をするようにランダムに割り当てられました。
研究開始時と終了時に、研究者は高齢者の身体バランス、歩行能力、転倒の危険性などを測るテストで全員を評価しました。このテストは、椅子から立ち上がって10フィート歩き、椅子に戻って座るまでの時間を計測するものです。
試験終了時には、ゴルフをした人は0.96秒速く、太極拳をした人は0.33秒遅くなっていました。
「ゴルフの結果は意外かもしれませんが、今回の研究では参加者の数が少なく、調査期間も比較的短かったことを考慮しなくては行けません。より多くの人を対象とした、より長期間の研究が必要です」とウィルズ博士は話しています。
研究者によると、スポーツに対する全体的な満足度は両グループともほぼ同じでしたが、太極拳参加者の33%に対し、ゴルファーの86%は活動を「間違いなく」継続する可能性があると回答しました。
「ゴルファーの方がスポーツを続ける可能性が高いという結果は、とても興味深いものでした。もし、太極拳よりもゴルフクラブを振る方が魅力的なら、ぜひゴルフ練習場に行って1時間ボールを打ち続けてみてください」。