デビッド・ロレンツ(David Lorentz)

2021年1月

 

 米国経済が2021年に向けて足踏み状態のまま、二番底の景気後退を食い止めるための景気刺激策の効果が働いている中で、ゴルフ業界は楽観視する市場感情が続いていますが、ワクチンの導入や最終的に日常が戻った時にゴルフ業界がどうなるかという疑問は確かにあります。贔屓目に見ても、ゴルフは明らかにステイ・ホームの恩恵に浴しています。

 11月の記事では、既存の熱心なプレーヤー集団によって、2020年のプレー回数と支出の増加が、かなりの程度まで回復してきていることを説明しました。私たちは、コアゴルファー(人口)の約20%が、好天や特定目的の旅行、在宅勤務のような一時的な流行要因を最大限に活用して、プレーと支出の増加を引き起こしていると推定しました。このグループの内、5人に4人が有業者で、複数の職またはフルタイムの仕事をリモートワークスケジュールでこなしているのに対し、他のコアゴルファー(年間8ラウンド以上)では60%にすぎません。

 しかし次の12カ月を展望すると、2020年のラウンド数に匹敵する(少なくともそれに近づく)ことができるかどうかは、これらの「熱心なゴルファー」がこの7カ月間のように継続してプレーしているかどうかに大きくかかっているように思われます。最近の消費者のパルスデータ(アマゾンなどが使っている購買動機データ)では、2021年にはこれらの消費者の「平均値への回帰」があることが示唆されていますが、そうなることも考慮しておくことは価値があります。

 先週、コアゴルファーに二つのシナリオにおける行動を予測していただきました。シナリオの一つは予防接種が普及し、マスクを付け、ソーシャルディスタンスを守る必要がなくなり、初夏までには普通の生活に近い状態まで戻るというシナリオです。もう一つのシナリオは、新型コロナウイルスの状況が2021年まで続くと仮定したものです。

 どちらのシナリオでも、この「熱狂的な」グループは、2021年のプレーが10~15%下がると予想しています(自己申告のラウンド数は、2020年には平均して40%近く増加していました)。2020年の熱狂的なゴルファー層では、最終的にエンゲージメント(参加状況)が低下することは残念ですが、おそらく避けられない現実であると想定しておくべきです。

 当社の調査によると、400万人から450万人のコアゴルファーが、2020年にプレーや支出を減らしています(彼らは「熱狂的なグループ」より50%も多い)。このグループこそが、2021年に大きな変化をもたらす可能性があるのです。「夏までに通常に戻る」シナリオでは、これらのゴルファーは、プレーが新型コロナウイルス発生以前のレベルに回復すると予測していますが、「長期化する」シナリオでも、2020年の需要は半減すると予測しており、今年のラウンドに大きく影響することになります。

 2020年の天候、ツーリズムゴルフやイベントゴルフ(リーグ、遠征など)の反転増、新規プレーヤーや再開プレーヤーの動き、そして2021年にどのような動きが起こるかなど、他の要因が絡んでくるでしょう。しかし、ここで重要なのは、コアゴルファー人口の大部分(私自身も含めて約3分の1)が実際には消費を控えようとする動きがあったにもかかわらず、米国のゴルフラウンド数は2020年に大幅に増加したということです。つまり、より大きな問題は、熱狂的なゴルファーたちが今年もチャージし続けるのかどうかではなく、「ラウンド数が少ないゴルファー層」の消費性向がどの程度まで回復するのかということです。そして、我々のデータは確かな希望を与えてくれます。

出典:What’s Ahead for ‘Zealous’ Golfers? | The Q (thengfq.com)

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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