英国国際ゴルフグリーンキーパー協会(British & International Golf Greenkeepers Association=BIGGA)が会員対象に行った「グリーンキーパー労働調査2022」が発表されています。仕事の満足度や所属ゴルフ施設の労働条件など気になりますよね。こんな調査、日本では誰もやってくれません。やっぱり協会がないといけません。
The GOLF BUSINESS紙によると、主な内容は以下の通りです。
グリーンキーパーの半数以上(56%)は、コース管理という職業に満足していると答えていますが、35%は、現在ゴルフ場以外でのビジネスチャンスを探しているとのことです。
スタッフの雇用問題については、53%がスタッフ不足の状態で、83.5%が新しいスタッフの採用に苦労していると回答しています。
また、欠員が出た場合にスタッフを確保するのが簡単だと答えたグリーンキーパーは2%未満で、47%が「非常に難しい」と答えています。
コロナウイルスによるロックダウンに見られたゴルフブームは、一般的なスタッフ数の増加につながったようで、2019年の前回調査では、平均的な18ホールのゴルフコースには季節雇用を含め5.5人のグリーンキーパーとスタッフがいましたが、2022年には6.3人に増えています。
しかし、スタッフの福利厚生施設に対する投資は増えておらず、例えば、女性チームスタッフのために男女別の更衣室やトイレを提供している施設は5カ所に1カ所と、英国も女性の待遇改善が必要なようです。ITテクノロジーへの依存度が高まっているにもかかわらず、約半数のクラブがコース管理施設内でインターネット接続を提供されていませんでした。さらに30パーセントのクラブはコース管理棟(事務所)が提供されておらず、29パーセントの施設はキッチンや更衣室が提供されていません。
平均的なコースマネージャーまたはヘッドグリーンキーパーの勤続年数は9年6カ月で、2019年の12年3カ月より少なくなって、これは転職や業界を去る人の数が増えていることを示唆しています。
70%以上のクラブが、BIGGAゴルフクラブ給与委員会作成のグリーンキーパーの給与に関するガイドラインに従っていません。ちなみに最も多い年収層は2万5000から3万ポンドで、日本円に換算すると400万~500万円です。
BIGGAのCEO、ジム・クロクストン氏は「私たちは、スタッフの採用と定着に関して大きな課題があること、また、給与、条件、福祉が大きな要因であること認識していますが、35パーセント近くのグリーンキーパーが業界外で仕事を探している状況は本当に懸念すべきことです」と話しています。同様に、女性スタッフのための施設が5カ所に1カ所しかないことは、スポーツ界が平等と多様性を目指しているにもかかわらず、私たちのゴルフというゲームに反映させていないことを表しており、残念ですとしています。
重要なことは、ゴルフ施設や業界がこの情報をどう扱うかで、ゴルフ以外でもスタッフの採用と定着を課題として取り上げられており、施設の運営管理機能を維持するために、多くの分野で大幅な賃上げや労働条件の改善で対応しています。BIGGAもゴルフは、この調査で示された課題を克服するために、統合的なアプローチが必要としています。
日本には同様な調査はなく、抱える課題は共通しているわけで、問題解決へのアプローチでは、アンケートなどの、誰もが分かる数値によるデータを元に課題を明確に示し、目標を設定し、目標達成のための計画(もちろん実行も)が必要です。
出典:https://www.bigga.org.uk/resource/uk-golf-greenkeeping-workforce-survey-2022-pdf.html
UK Golf Greenkeeping Workforce Survey 2022.pdf: https://www.bigga.org.uk/asset/E271D4E5-C907-4334-AB1CFAADE5BB0BC6/