by ジョー・ベディッツ
2021年2月
2020年に起きたゴルフ業界の情勢について、これ以上適切な表現は思いつきませんよね? ゴルフビジネスにおけるこれほどまでに楽観的で新しい動きを経験したのは、今世紀に移行した時以来のことですが、ところがどんな感じだったか忘れそうになっています。
この9カ月間、ゴルフ業界の多くの方々にお届けしてきた隔週刊のインサイト・ニュースレターは「Fortnight」として今号からスタートします。Fortnightは、ゴルフビジネスに携わるすべての人とのコミュニケーションのためのNGFからの新しくて重要なチャネルとしての役割を担います。身近に関心のある方がいらっしゃいましたら、ぜひその方にこのメールを転送していただき、このリンクをお知らせください。
ビジネスの停滞。私達は一言では言い表せない論じるべき多くのテーマを持っています。余りに多いことから、私達は「年次レビュー」を三つに分類するつもりです。この記事では、ゴルファーとラウンド数、そしてコース供給量についての最新の数字をご紹介します。次回のメッセージでは、ゴルフへの参加について掘り下げ、誰がゴルフに参加し、誰が去っていったのか、そしていくつかの重要な顧客グループがどのような結果を残したのかについての詳細をお伝えします。最後に、第3回目では「供給」をテーマに、ゴルフ場のオープン、クローズ、リニューアル、市場の均衡化傾向などをご紹介していきます。
NGF会員の読者の皆様には、お待たせしません。レポートの全文は www.ngf.org/graffisreport でご覧いただけます。これは、85年前に初めてのゴルフビジネスの調査・教育・業界団体としてNGFを設立した創業者、ハーブとジョー・グラフィスにちなんだものです。
2020年については、米国のゴルフ業界は安定したグリーングラス(伝統的なゴルフコース)への参加と、ゴルフコース以外でのエンゲージメント(参加)が大幅に増加したことにより、多くの楽観的な見方がされていました。その後、世界中がコロナウイルスのパンデミックの渦中に置かれ、ゴルフも他の多くのビジネスと同様に大打撃を受けました。しかし、昨春のシャットダウンは、ゴルフプレーとゴルファーの新規参入と休眠からの再開、そして好調な最近のゴルフ消費という点で、夏から秋の前代未聞の好況を経験してきました。この驚くべき一年を振り返ってみると、いくつかのことが際立っています。
-3月、4月のコース閉鎖にもかかわらず、前年比14%のラウンド数増加
-ゴルフの総参加者数(ゴルフコースとゴルフコース以外を合わせて)は前年比8%増の3,690万人に
-ゴルフコースでプレーしたゴルファー純増50万人、17年ぶりに増加して2,480万人へ
-グリーングラス(伝統的なゴルフコース)への関心が高まり、前年同期比10%増
-全国のゴルフ施設の財務健全化に伴い、コース閉鎖数が大幅に減少
ゴルフプレーの活性化は、2020年に最も注目され、当然のことのように受け入れられています。しかし天候に関連した平均的な変動は通常は±2%~3%であり、過去20年間で5%の増加があったのは一度だけであることを考えてみてください。14%の上昇は、春のラウンド数が2000万ラウンド減少したとしても、2019年の純増は6000万ラウンド前後で、業界全体では5億ラウンド前後になったことを意味します。需要の高まりは特に6月から年末にかけて顕著で、2019年の同時期よりも約7500万ラウンド増えています。
私たちが数年前にゴルフコース以外でのゴルフの実態を追跡し始めましたが、これはこのゲーム(ゴルフ)の幅広い消費者層と行動パターンを追跡して定量化するためでした。これはトップゴルフだけでなく、他のゴルフエンターテイメント施設やシミュレーターやスクリーンゴルフを設置している数百もの施設、さらには古き良きスタイルのゴルフ練習場にまで及んでおり、信じられないかもしれませんが、その施設数は今でもコストコの倉庫の数を上回っています。今日では、従来の「緑の芝生」(ゴルフコースにことです)とほぼ同じくらい多くの人がオフコース(コース以外)のゴルフに参加しており、両者の間にはかなりの重複があります。過去5年間で、ゴルフ消費者(人口)全体は19%増の3,690万人となり、現在では1,210万人のアメリカ人がゴルフコースではない施設でしかゴルフクラブでゴルフボールを打たないという状況になっています。
一方、米国のアクティブなオンコース(ゴルフコースでプレーする)ゴルファー数は、2020年には50万人増加し、2480万人となりました。これは2003年以降で最も大きな純増となりましたが、これは記録的なビギナーとリターナー(再開ゴルファー)の出現(そのうち620万人は前年比27%増で、ロサンゼルスとヒューストンの人口にほぼ匹敵する人数)のおかげです。正確な増加分はもっと多くなっていたかもしれませんが、2020年は多くの点で予想外の結果を生んだ年でした。2020年は570万人がゲームからリタイアしまし、前年比で喪失に当たり19%に相当します。この喪失の増加は、ウイルスへの不安や経済的な困難や子育てという課題、そしてゴルファーを呼び込む何千ものチャリティーや企業のイベントの中止によって顕著になりました。嬉しいことに、2020年における最近の参加者は、過去数年の最近の参加者と比較して、ゴルフの再開への関心が著しく高いことを示しています。
関心といえば、ゴルフへの新規参入見込み、私たちは「潜在需要」と呼んでいますが、従来はこれほど大きなものはありませんでした。過去1年間にコースでプレーしなかったが、プレーすることに「非常に興味がある」と考えているアメリカ人の数は、2020年には1,700万人に増加、前年比で10%増加し、2015年から40%以上増加しています。関心の高まりが続く中で、同時に初心者の数も増加しており、今年は過去最高を記録しました。
供給面では、ゴルフ場の閉鎖が前年比で大幅に減少(△31%)しました。NGFの調査では、2020年の18ホール換算の閉鎖コース数は193件で、供給量全体の約1.3%でした。住宅開発や商業用不動産プロジェクトに供給するための土地需要がゴルフコースの供給調整(減少)を後押しし続けています。
同時に、全国1万4,000以上のゴルフ施設のうち、財務状態が悪いと報告している施設は8%未満で、2016年の25%から大きく減少しています。市場は常に調整が進んでいますが、昨年の閉鎖の減少と施設の財務健全性の改善は、15年間続いているゴルフ施設の需要供給調整の終わりの始まりの合図となる可能性があります。
出典:NGF Golf KPIs for 2020 | The Q (thengfq.com)
注:KPI=Key Performance Indicatorは、組織やプロジェクトが達成すべき目標=重要目標達成指標(KGI=Key Goal Indicator)の進捗を確認するための中間指標。関係する用語=PDCA