この1年ほど、米国におけるゴルフの需給バランスが改善されていることをお話ししてきました。

 2021年末のデータでは、閉鎖コースの減少や施設全体の健全化から、1つではなく2つの施設タイプで(わずかではあるが)増加・・・そう、増加、増加と、需給均衡への動きを示し続けているのです。

 ゴルフ場は常に閉鎖されるものであり、それはどんなビジネスでも同じことです。平均的な敷地面積が約150エーカーもあるゴルフ場は、デベロッパーにとって特に興味深い存在です。2021年のゴルフ場閉鎖数(18ホール換算で130.5)は、ピークだった2年前のパンデミック前と比較すると53%減少しているのは注目に値します。

 これは、全国1万4,033施設、合計16,035のゴルフ場がある米国全体の供給量の1%にも満たない減少率だったわけです。

 では、全米のゴルフ場の市場規模はどのくらいなのでしょうか。

 米国のゴルフ場数は、オーストラリア、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、ニュージーランド、スコットランド、南アフリカ、韓国、スウェーデン、タイといったゴルフ先進国のコースをすべて合わせても、そのゴルフ場数を400以上も上回るコース数があることを考えると、市場規模の大きさがわかるでしょう。

 米国では、2006年以降、毎年、開場数よりも閉場数が多い状況が続いており、市場の縮小は止まっていませんが、コース数(18ホース換算HEQで計測)はピーク時から約11%減少しているにもかかわらず、このような状況にあります。そして、この変化の背景には、それまでの20年間に4,000以上のコースがオープンしたことで持続不可能となった建設ブームに加え、経済大不況の引き金となった住宅バブルの崩壊があります。

 こうした状況の下で不動産開発環境の修正が続いたことで、2021年に自治体が運営する公共コースとプライベートコースが増加したことが注目されます。

 ミュニティの数は過去10年間で実に4%増加しており、主に自治体が財政難に陥っていたデイリーフィークラブやプライベートクラブを買収し、地域のアメニティや保存緑地として提供することで施設数を増やしていました。

 さらに驚くべきは、2021年にプライベートコースの合計が2007年以来初めて増加したことです。近年、民間の供給パワーはやや低迷していましたが、その多くは財政難の中級クラブが閉鎖したり、公共施設に転換したりしたためですが、12コースの純増は劇的なものでは言えないにしても、需給バランスの改善に向けた動きを示す指標といえるでしょう。

ジョセフ・F・ベディッツ, Ph.D.(NGF、米国ゴルフ財団社長兼最高経営責任者)

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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