米国ゴルフ財団(NGF)

2020年7月

 COVID-19によるクラックダウン(取り締まり)後に起きている初期の回復状況は、5月は全国的に6%以上の ― 前年の2019年5月比較で約240万回以上のラウンドに相当―の増加になっています。正確ではないが、7月の第1週になっても、いまだに米国内のゴルフコースの10%以上が閉鎖されていることに注意することが重要です。

 サガシティ・ゴルフの6月初期のデータによると、フェニックス(52%増)、オーランド(39%増)、サンフランシスコ(20%増)など、いくつかの主要なゴルフ市場で前年比で大幅に増加していたことが判明しています。

 コロナウイルスへの対応を続けているこの1カ月間について、ゴルフ場経営者はどのような意見を持っているのでしょうか? そこで、彼らの目には現在のゴルフへの参加状況がどのように映っているのか、この経験をどう捉えているのかについて、全国のゴルフ施設のヘッドプロからの意見を聞いてみました。

エリスパークゴルフコース(アイオワ州シダーラピッズ)

18ホールの市営ゴルフ場とゴルフ練習場

マーク・マクマホン – ヘッドプロ

「私たちは毎日が最高の状況を経験していますが、財政的には去年と変わりません。月曜から木曜の利用者は常連で、金曜から週末はゴルフゲームの未経験者もいますが、彼らは、ゴルフは野外でできるスポーツでだとみんな気付いています。20代後半から30代の若者が毎日のようにプレーしています。ミレニアル世代と言われる彼らは、在宅で仕事をしているからゴルフ場での利用に勢いで出てきている。

 スタート表は満杯です。タイガーブーム以来、こんなの状況は見たことがありません。人々はゴルフをしたいと思っています。ゴルフコースがオープンするまでの戦いがありましたが、ゴルフゲームは今、本当に恩恵を受けています」

「多くの友人から‟今忙しいのかい?”と聞かれますが、‟見ればわかるだろう”と言っています。毎日が‟グラウンドホッグデー(聖燭節)”のようなものです。スタート表は朝7時から夜6時までいっぱいです。私がアイオワ州のパブリックコースで会ったことのある人は皆そう聞きます。シダーラピッズ市にはたくさんのゴルフコースがありますが、すべて満員です。アイオワ州東部のゴルフ場は確実に増加傾向にあります。レイバー・デー(労働者の日)になると、通常は減少します。今年はどうなるか分かりませんが、自宅で仕事をしている人がたくさんいるなら、現状に変化はないでしょう」

「ゴルフにスポットライトが当たっている今を受け入れています。またいつこんなことが起こるかわからないので、プレーの増加は常態化してほしいのですが、ある程度普通の生活に戻れば、プレーは徐々に元の状態に戻っていくと思います。この状況は、ゴルフがもっと生活の中心になるために必要な変化なのかもしれません」

「新しいゴルファーがゴルフ場に来てくれていることは間違いありません。彼らも練習場でボールを打つだけではなく、ゴルフプレーをしてくれています。我々のスタッフは、特にゴルフを日常的にプレーしない人たちとは違うことを経験しているわけです。プレーペースでもそうですが、エチケットなど、多くの人が何も知らないことを前提にして、一人一人にアプローチしていけば、従業員も幸せになれるし、お客さんも待遇が良くなると思うのです。でも、シーズンに入りスタッフが戻ってきた時に、『どうしたんだ、どういうことだ』と不思議がる人が多かったのですが、『これが普通だよ。リラックスしてください』と言わなければなりませんでした」

ワールド・オブ・ゴルフ(ケンタッキー州フローレンス)

18ホールのエグゼクティブコース、インドア&アウトドアレンジ、ゴルフシミュレーター、ミニゴルフ

ラルフ・ランドラム – 社長/ヘッドゴルフプロ

「知事の規制決定後7~8週間は閉鎖されたゴルフ施設ですが、再開してからは、信じられないほど多くの人がゴルフを楽しんでいます」

「オンラインで予約を受けていますが、車からの電話予約も前払い制にしています。実際には支払いで問題が起きないわけではありません。また、ゴルフボール貸出機にクレジットカードを利用する装置セットアップするために約1万ドルが必要になりました。でも、狂ったようにボールが消費されています。 5月には、グリーンフィーとカートの収入が昨年より25%ほど増えました。しかも5月はバカみたいに大雨だったんですよ」

「家族連れが増えました。子供連れのママが増えたね。私たちはまだユーススポーツ施設として活動をすることが許されていないので、サッカーの試合がなくて、(シンシナティ)レッズの試合もない状況です。現在のプレースタイルで唯一の問題は、個人的な触れ合いが少ないことです。安全のために多くのルールを制定しなければならないのです」

コミュニティ・ゴルフ・クラブ(オハイオ州デイトン)

18ホールの市営ゴルフ場2コース、ゴルフ練習場、練習場

ジャナ・ダルトン – ヘッドゴルフプロ

「デイトンは三つのゴルフ施設のうち2施設を閉鎖していたので、私たちは少し特殊な存在です。そのため、リーグ、ボランティア、アウトドアをひとまとめにしなければなりませんでした。何がCOVID-19に関連していて、何がコビッドに関連していないのか、まだ正確にはわかりません。しかし、私たちの利用状況は桁外れに活発です。70のリーグがあり、二つのコースで1日に300ラウンドの利用があります」

「問題は、パー3コースとして好調だったキティホークの初心者向けコース(閉鎖されたデイトン市の施設の一つ)を失ったことです。また、閉鎖とは無関係に、近くにも閉鎖した施設がありました。この1年で三つのゴルフ練習場と二つのパー3コースが無くなってしまいました。ここでのマイナス面は、ファーストティーをどうやって維持するかを考えなければならないことですが、今年は多くのプログラムを中断しています。残念ながら、私は彼らのための施設を持っていないので、利用をお断りしなければなりません。ゴルファーを受け入れられないことは非常に残念です。COVID-19騒動が鎮まり、人々が日常的なレクリエーションに戻ってきたときに、成長したプレーヤーの一部が戻ってくることに期待をしています。普通のゴルファーでもボランティア活動をしていますが、『ティータイムを取るのが大変だ』と言われます」

「キャンディ缶が爆発したようなもので、ゴルファーを収容しようとしているだけです。大挙して来場されるんだ。儲かってはいますが、どうなるかわかりません。10月で閉鎖されるかもしれない」

「ジュニアに関しては、親子ゴルフはクールだし、親は在宅で仕事をしているので、出来る限り対応できるように対応しようとしています。しかし、予約枠には限りがあります」

「ゴルフにとっては、いろいろな点でリセットボタンを押すチャンスです。せっかくのチャンスを失いたくありません」

レイク・オズウェゴ・ゴルフコース(オレゴン州レイク・オズウェゴ)

18ホールの市営パー3コース

トム・ミューラー – ヘッドゴルフプロ&ゼネラルマネージャー

「私たちは経験したことのないビジネスをしています。昨年よりも飛躍的にビジネスが増えました。ラウンド数とレンジの使用率が大幅に増加しています。落ち込んでいるのは商品の売上げです。衝動買いがあまりありません。その部分は減少していますが、プレーやカートの使用、レンジからの収入はすべて増加しています。先月は毎週末が雨でしたが、1年前に比べて20%~25%の増収です」

「人々は安全な野外で何かをしたいと必死になっています。私は市議会に情報を伝える責任があります。このことから明らかになったのは、ゴルフは人気がないという考えは全く真実ではないということです。人々は年々、やりたいことの選択肢にゴルフを書き込んでいます。提供サイドの注意力が分散しているのです。COVID-19で、スポーツの選択肢が限られたことで、去年は見られなかった人の利用が多くなってきています。ゴルフが選択肢の一つになったわけです」

「お客様の3人に1人は最初のティーはどこかと聞いてきます。全てのアクティビティを中止せざるを得なくなっている公園運営で失われた収益の補填に貢献しているのが私たちです」

コンチネンタルゴルフコース(アリゾナ州スコッツデール)

練習施設を備えた18ホールのパブリックエグゼクティヴコース

マーティ・ハウギアン – ゼネラルマネージャー

「5月、6月は他にやることがないため、ラウンド数が多くなっています。そして、利用率を高く保つことができました。3月と4月は、4月中旬から再開したレストランを含め。ほぼ全ての販売益を失い大打撃を受けました」

「良いニュースは、他のレジャー施設がまだあまり動いていないことです。例えば、映画館は開いているところはあまりなく、バーやレストランは開いていますが、人々は慎重です。気温は40℃を超えています。施設は、昔ながらのスコッツデールの町の中心部にあるので、カジュアルなゴルファーも多く、1800人のカード会員を対象に20%の割引を行っています」

「以前はほとんど来なかった人も来ています。年に1~2回だった人が、毎週のように来てくれるようになりました。‟もっとラウンドすれば上達する“と認識してもらえればいいですね。来年はどうかな」

マウントシーゴルフコース(ワシントン州スノークォルミー)

18ホールのパブリックコースとゴルフ練習場

スコット・バーター – ゼネラルマネージャー

「施設は驚くほどの利用者で溢れています。90年代後半でも見たことのないような状況を見ています。先日は最初のグループが午前4時37分にティーオフし、最後のティーオフは午後7時30分でした」

「多くの人が家に閉じこもっていました。人々がゴルフゲームを取り戻す機会を与えてくれたわけです。レクリエーションという点では町でも数少ないゲームがゴルフです。プロスポーツや子供のスポーツが行われているわけではありませんが、私も3人の子供がいるので、普段はコーチングに走り回っていますが、その時間もありません」

「興味深いのは、プレーペースが非常に良くなっていることです。ゴルファーたちはフラッグが刺さったままでプレーを続け、速くプレーをしようと動き続けているように見えます。なんと言っても1日に300ラウンドのラウンド数です。1ラウンドが4時間を切っていますから、今までのビジネスモデルを見直しています。午後3時から2時間以内でコースに戻っていくグループを見ていると、回せることができると感じます」

「忙しくてプレーのコントロールで精一杯です。時にはお昼ご飯も食べられないこともあります。でも最高です。しばらく閉鎖していたので、スタッフの給与計算をどうしようかと悩んでいましたが、その心配は吹き飛びました」

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください