KPMGの年次報告書によれば、2018年の欧州のゴルフ市場は安定しており、全体的な需給関係を示す数値に大きな変化はありませんでした。

 ヨーロッパの全体的な参加率は2015年以降安定しています。実際、ヨーロッパのゴルフ市場を詳しく見ると、各国ゴルフ協会の54.5%で2018年の自国でのゴルフ参加レベルが安定または増加したことを示しています。残りの45.5%のヨーロッパ市場は、イングランド、スコットランド、スカンジナビア諸国などの著名な市場を含めいくらか減少しました。
 研究では、各協会に登録されたゴルファーの人数はわずかに減少し、0.6%(-24,396人)減少しましたが、ヨーロッパのゴルフコースの数は安定したままでした(-3コース減)。
私たちの調査によると、ヨーロッパ全体の登録ゴルファーの性別分布は変化はなく、68%が男性、25%が女性、7%がジュニアです。

 以上がKPMGの分析です。なぜかレポートはページ数も自社の広告スペースを除けば表紙と目次を含めて4ページです。実質2ページだけのレポート。昨年は13ページで、もっと深堀した内容でした。本業が会計・投資コンサルタントですから、今どこにマーケットがあるかが最大の関心事だと思います。今回は、変化がないことから詳しいレポートは出さなかったのかもしれません。そこで、もう少し詳しく見たいと思います。
 登録ゴルファーの男女とジュニアの比率は、2018年は男性68%、女性25%、ジュニア7%でした。この数値を2017年と比較すると男性が1%増え、女性は同数、ジュニアが1%減っています。ヨーロッパ全体の登録ゴルファーの人数は411万2722人で、前年より2万4396人、0.6%の減少です。統計的に見れば0.6%は誤差の内で、ほとんど変わっていないということになります。しかしマイナスです。先の男女。ジュニアの構成比は、登録会員数がほとんど変わらない中でジュニアは構成比を減らしていますから、気になる数字です。総人口に対する登録ゴルフ人口は0.5%で、前年の2017年の0.9%より低くなっています。
 ゴルフ場数は、6859コースで、閉鎖が3コースありました。2017年は、18コースが建設中で、閉鎖は89コースでした。
 調査した(なぜかイスラエルが対象になっています)各国の参加率(登録ゴルファー人口)の増減状況は、成長(増加)が31.8%、安定(前年並み)22.7%、衰退(減少)が45.5%です。2017年は増加が39%、前年並み37%、減少24%でした。増減状況を国数でみると、増加13(14)、前年並み11(10)、減少20カ国です。( )内の数字は、マルタが表中の数字は増加ですが、状況のマークが前年並みとなっているためで、数字通りであればカッコ内の数字になります。たぶん表記ミスで、カッコ内の数字が正しいとは思うのですが。
 さて、こう見てきますと、確かにヨーロッパ全体では大きな変化はないにしろ、ゴルフ先進国の英国のイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドは減少、ゴルフ熱の強い北欧のスウェーデン、フィンランドでも減少しているのが気になります。ま、こうした衰退地域は投資対象として評価は低くなりますから、投資先は増加している国となるのでしょう。経済規模からはロシア、トルコ、オーストリアなどが対象となるのでしょう。KPMGは中東、トルコ、東欧でのゴルフマーケットの調査をしていますから、たぶんそうなんでしょう。しかし気になるのは、英国の状況です。奇しくもというか英国も人口の高齢化が日本ほどではありませんが問題となっています。なにか関係することがあるのか、調べる必要はあると思います。

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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