一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK、手塚寛理事長)から、ゴルフ場の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」感染拡大防止ガイドライン(クリックするとNGKのホームページからダウンロードできます)がまとめられ、5月14日発表されました。

 ロックダウンした英国では、非常に厳しいガイドラインが発表されています。米国では各ゴルフ団体が共同してBACK2GOLFという出口戦略を策定して実施に移っています。日本はロックダウンという形をとっていないことから、緩く感じられるが、COVID-19と共存しながら新しいゴルフ様式への対応は世界共通であり、ゴルフ業界から感染者を出さない取り組みが求められています。

 今回NGKから発表された「新型コロナウイルス感染症」感染拡大防止ガイドラインは、運営面、従業員の安全対策、ゴルファーの行動についてそれぞれまとめ、チェックリストで対策の漏れを防げるようになっている。

 こうしたガイドラインは、各事業者への規制や強要ではないが、今後のコロナウイルスと共存する新しい生活様式を考えると、ゴルフから感染者を出さない、感染を広めない対策が、一般社会から求められることは必至です。ゴルファーの安全・安心を守ることは事業者として当然の社会的義務ですが、従業員の安全確保も同じです。また、未だに何かとゴルフが特別な扱いを受ける状況がありますが、この点では米国も同じような環境にあります。米国のNGF会長から届いたメールには、「ゴルファーは人口の1割に過ぎず、ゴルフに関心のない人たちが9割います。この9割のゴルフにあまり関心のない人たちに関心を払う必要があります」と指摘するとともに、「ゴルフビジネスが復活してきたことは喜ばしいことですが、現状はゴルフ場運営の観点からも、ゴルファーのコンプライアンスと責任からも、通常の状態でのビジネスではありません。ゴルフ場の運営者は、ゴルファーと同じように、具体的な安全対策を実践しなければなりません。
 ゴルフは、社会的距離を保ち、その他の注意事項が守られていれば、比較的安全な活動であると考えられていることからゴーサインが出されています。しかし、間違ってはいけないことは、与えられたものは取り去られる可能性があるということです。悪質な行為は注目され、スマホに記録される可能性もあります。フロリダ州のあるコースでは、最近、地元の保安官事務所によって、露骨な安全違反が摘発され閉鎖されました。
多くのプライベートクラブの理事会は、ルールに従わない会員に対する懲戒処分の決定に悩んでいます。
 NGFとしても全国のゴルフ場に向けてメッセージを発信し、主要なゴルフ協会が提供している優れたガイダンスに従うよう運営者に奨励し、ゴルフ場がプレー可能な状態を維持するかどうかはゴルファー自身の責任であることを再認識してもらう必要があると考えます。
 ちょっとした失敗をパパラッチが記録する準備ができています。私たちは誰も望んでいないはずです」と安全対策の徹底を呼び掛けています。

新しい生活様式の中でゴルフが果たせる役割

 NGFの会長が指摘するまでもなく、ゴルフはニューノーマルといわれている新しい生活様式の中で求められる「Social Distancing(社会的距離)」と肉体的な不用意な接触を防ぐ「Physical Distancing」を守れるスポーツとして、貴重な運動習慣の場を提供できる素晴らしいスポーツとして注目されないはずがないのです。身体的効果だけでなく、緑に囲まれたフィールドは閉じこもりからくるストレスを解放する素晴らしいスポーツです。ただし、ベディッツCEOが指摘するように、ゴルフの場からの不用意な、不注意な出来事が、残りの9割のゴルフにあまり関心のない人たちに再びゴルフへの不信感を待たせることになります。

 NGKや全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)から発表されているガイドラインは、正しくゴルフを楽しんでいただき、ゴルフからコロナ感染者を出さない、拡散しない標準的な対策として、すべてのゴルフ施設がこのガイドラインを遵守することが大事です。正しく新しい生活様式を支える最有力のスポーツとして、これほど社会貢献ができる絶好の機会はありません。皆さんの、日々の取り組みの期待をしています。

 最後に、たぶんJGAが対応してくれることを期待して米国のBACK2GOLFで、ゴルファーに求める行動変容をまとめたポスターを掲載します。ゴルフ施設が十全な対策を実施すると同時に、ゴルファーにも強くゴルファーとしての自覚と行動変容を訴えるべきだと思います。JGAなどで用意できるまで米国のこのBACK2GOLFキャンペーンポスターをゴルフ施設に張り出しませんか。このページ(http://wearegolf.org/back2golf/)の真ん中あたりにプリント用のポスターのダウンロードボタンがあります。縦型、横型の2パターンが用意されています。

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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