PSA (problem solution approach/問題解決法):
2021年6月18日
USGAチャンピオンシップ・アグロノミー部門ディレクター、ダリン・ベバード(Darin Bevard)
ゴルファーは、自分のプレーが一流のプレーヤーと比べてどうなのかと考えます。全米オープンの条件でティーアップしたらどうなるだろう? 時折、母なる自然が協力して穏やかで乾燥した天候になると、スーパーインテンデントは、芝の健康を損なうことなく、短期間でプロのトーナメントコンディションに近づけることができ、しっかりとした高速のプレー面を作り出すことができます。チップショットやパットを正確に打たなければならない、しっかりとした高速グリーンは、たまに体験すると楽しいものです。
しかし、全米オープンの舞台では、深くて草丈の高いラフがあるため、あまり楽しめません。ホームコースのラフを全米オープンのラフと同じにしたくない理由は、以下の通りです。
全米オープンのラフはとにかく難しい
全米オープンのラフは、世界のトッププレーヤーのボールの打ち方を見れば、ラフからの脱出は簡単に見えます。しかし、多くの人にとって、その結果はそれほど美しいものではありません。完璧に打てなかったショットはあまり飛ばず、ほとんどの人は何度ものショットを繰り返してフェアウェイに戻すことになります。これでは楽しくありません。自分のホームコースでラフが少し高くなると、「これは全米オープンのラフと同じだ!」と思う人がよくいます。しかし、それは間違いです。全米オープンのラフは、大会の何カ月も前から準備されています。ただ単に芝を高くすればいいというものではありません。そのラフは、一般のゴルファーが経験したことのないような高さと深さと密度を持っています。
ロストボールが多発します
全米オープンでは、フォアキャディやスポッター(フィールドにいる選手の名前をアナウンサーに伝える人:初めて知りました)、ファンがラフにあるボールを探してくれます。自分のホームコースではまずありえないことです。全米オープンでは、多くの人がショットに注目しますが、ラフの高さと密度が高いため、ロストボールが発生します。全米オープン終了後にラフが低く刈り戻されると、多くのロストボールがフェアウェイからわずか1~2ヤードのラフに露出してきます。その大半は、全米オープンではなく、大会前の日常的なプレーで失われたものです。
プレーのペースは最悪です
深いラフの中にあるボールを探したり、短く刈られた芝の上にボールを戻すための余分なショットには時間がかかり、18ホールではかなりの時間がかかります。次々と現れる後続のグループが苦戦を強いられることで、状況はさらにスローダウンし、非常に長い一日を過ごすことになるでしょう。
メンテナンスの予算に影響するかもしれません
刈高の高いラフは、メンテナンスは必ずしも容易ではなく、コストは安くはなりません。芝生が倒れたり、マットになったりしないように注意深く準備しなければなりません。また、深くて厚いラフを維持するには、より多くの肥料や灌漑、植物保護剤が必要になるかもしれません。また、「全米オープンのラフ」に飽きて高さを元に戻そうとする人がいると、刈り込みによる清掃が必要になることもあります。
全米オープンを再現するためのラフがあってはなりません。そのハードルは、世界のトップゴルファーに任せましょう。グリーンやフェアウェイがしっかりしていてグリーンスピードが速いコンディションには、ほとんどのゴルファーはある程度順応できます。しかし、5インチの深いラフには適応できません。
出典:PSA: You Don’t Want “U.S. Open Rough” At Your Home Course (usga.org)