2022年6月17日
USGA中部地区アグロノミスト ポール・ジェイコブス
選手権ではグリーンの刈込みと転圧は、通常、毎日何度も行われますが、これは速いグリーンを提供するための作業の一つに過ぎません。
全米オープンは最もタフなゴルフ選手権として知られており、世界のトッププレーヤーに試練を与えるような硬くて速いグリーンが特徴です。ファンとして、これらのチャンピオンシップの条件がどのように構成されるかについて気になるものです。なぜなら、彼らにとっては毎日のプレーで経験する状態ではないからです。
グリーンのスピードは、多くのアマチュアプレーヤーが速いほど良いと感じているため、しばしば論争の的となる話題です。グリーンスピードはよく調整されたパッティンググリーンの一つの要素ですが、滑らかさ、まっすぐな転がりや硬さもまた重要な特性です。さらに、スピードが速ければ良いというわけではなく、ラウンドペースが遅くなったり、スコアが悪くなったりすることがよくあります。これらは、ほとんどのゴルファーが嫌う二つの事柄です
私たちは、なぜチャンピオンシップのグリーンスピードが日常のプレーに適していないのかについていくらでも記事を書くことができますが、記事の中身は次のたった二つの理由だけです。
それは選手権開催コースに求められる速いグリーンスピードを提供するために、信じられないほどの作業内容と時間を必要とすることと、多くのゴルフコースでは、速いグリーンスピードを一貫して維持するために必要な厳しいメンテナンスを実行するためのリソースを持っていないからです。最新の管理機械で毎日何度も刈込みや転圧を行うことは、必要な作業の一つでしかなく、正確な水や栄養管理、成長調整剤の散布などは、グリーンスピードを上げるために日常的に行わなければならない他の多くの作業の一例です。
芝は多くのストレスに耐えることができますが、全米オープンでグリーンスピードを出すために行われる作業は、芝に強いストレスを与えます。テレビで見るような大会のコンディションは、ほとんどの全米オープンの会場でさえ、年間を通じて提供することができない高いクオリティを維持しているのです。大会で求められるコンディションは、大会開催以前から「仕上げられる」のが普通です。つまり、グリーンスピードは選手権ラウンドに向けて徐々に速くなり、そのコンディションが維持されるのはわずか4日間だけです。その後、芝の健康維持とストレスからの回復を促進するために、メンテナンスは通常に戻され、さらに防御的な管理になるのが一般的です。
グリーンのスピードが速いことは楽しい経験ですが、私たちがテレビで見る状態は、スタッフやボランティアによる大変な努力の結果であり、メンテナンスクルーが通常の4倍の規模になることもしばしばあることを忘れないでください。これらと同じリソースを、ほとんどのコースは標準で備えているものではありません。確かに、大人数のメンテナンスチームを持つコースもありますが、そのような状況下でも、密生した健康な芝を維持することが常に優先されることを覚えておくことは大切です。グリーンの速さを競うようなメンテナンスが長期間にわたって行われれば、たとえ膨大なヒト・モノ・カネといった経営資源があったとしても、芝の衰えは避けられないでしょう。
次回プレーするとき、なぜ全米オープンで見たようなコンディションにならないのか不思議に思うかもしれませんが、メンテナンスチームの規模がほんの数人のコースであっても、あなたのゴルフもおそらくテストされている選手ほど上手くはないことを心に留めておいてください。結局のところ、滑らかで健康な芝が、グリーンの速さに関係なく、バーディーパットを決めるための素晴らしい芝生表面なのです。
USGA中央地区アグロノミストは
Paul Jacobs, agronomist – pjacobs@usga.org
Zach Nicoludis, agronomist – znicoludis@usga.org
USGAコースコンサルティングチームは
Information on the USGA’s Course Consulting Service
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出典:Green Speed: U.S. Open Versus Daily Play (usga.org)