立ち位置の悪い木は、芝生やプレイ上の問題から安全面に至るまで、たくさんの問題をゴルフコースに起こす可能性があります

樹木管理のメリット

2019年10月29日| LIBERTY CORNER, N.J. By George Waters, USGA Green Section

適切な木がゴルフコースの適切な場所にあるとき、それらは途方もない価値を生み出します。樹木は、多くの環境上の利点とともに、プレイでの戦略性と美しい景色を提供します。そして、ゴルフコースに周囲と一体となった独特な特徴を作り出します。
こうしたすべてのメリットを考えれば、樹木管理は、どのゴルフコースにおいても最も繊細で情緒的なテーマの1つであることは驚くことではありませんし、ゴルフコースにとって樹木が良い効果を持っていることは間違いありませんが、樹木が間違った場所に植えられると、その後の何十年にもわたり問題を引き起こす可能性があります。
「樹木は、米国のほとんどのゴルフコースに不可欠な部分です」と、USGAグリーンセクション教育部門のディレクターであるアダム・モーラーは述べています。 「たとえ問題が非常に明確であっても、樹木の伐採について議論するときは理解が得られるように慎重になります」
「重要なのは、感情的にならず、それぞれの木が及ぼす影響を客観的に見ることです」とモーラーは言います。「ゴルフコースはどこでも高いメンテナンスコスト、高い期待、厳しい競争に直面しているため、効果的な樹木管理は行うことはこれまで以上に重要になります。ただ、現場は、問題のある木に関する問題に対処する余裕がありません」

米国東部地域では
1995年にトッド・レイシュがニュージャージー州パラマスのリッジウッドカントリークラブ(Ridgewood)のスーパーインテンデント(スープリ、コース管理者)に就任したとき、コースは樹木が生い茂り、植栽プログラムの一環として植樹された何百本もの非在来の樹木がありました。濃い日陰とグリーン周りの空気の流れが制約され問題発生の原因となっていました。
「スープリとしての最初の数年間は非常に楽でした」とレイシュは回想します。しかし、やがてグリーンで最悪な病気が発生しました。その夏の8月は、プレイすることさえできない状態でした」
リッジウッドは、多くのメンバーが樹木の除去に反対でしたが、行動に移しか手段はありませんでした(下の画像を参照)。日陰状態の調査を実施し、どの木が最もコンディションの悪化に影響を与えているかを特定しました。この情報が会員に伝えられ、倶楽部はグリーン周りだけで1,000本以上の木を取り除くことにしました。

「当時、私は仕事を失うのではと心配していました」とレイシュは言います。「しかし、夏場にダメージを受けたパッティンググリーンの問題は、樹木問題の対処への障害を取り除くことなり、私とリッジウッドに起こった最高の出来事だったかもしれません」
その後の数年間は、樹木を除去したことでの有益な効果が得られ、プレイ条件はゴルフコース全体にわたって改善され、コースの景観は改善され、コース設計者のコースデザインとプレイに関する意図を再現することに成功しました。この成功事例により、レイシュと彼のチームは、2022年に予定されている全米アマチュア選手権に向けて樹木の選択的な伐採と剪定を続けることができました。
「私たちは10年以上、コース内の木々を間引き、見通しを良くし、空気の流れを改善してきました」とレイシュは話しています。「私たちは、ゴルフコースの固有種でない樹木を取り除きました。10〜20年前の写真を見てください、コースが以前どのように見えていたのか信じられないでしょう」
リッジウッドでの経験は、コースが樹木問題に対処するのに余りにも長い間時間を要した場合に、どれほど悪い状態になるかを示していますが、改善プロセスが開始された場合でも忍耐が必要です。当初、レイシュはあまり速すぎないことを強く意識していました。彼は時間をかけて処理すべき問題を文書化し、樹木を除去する利点を示しました。最終的に頑強な反対者がやってきました。
「樹木は常にリッジウッドのアイデンティティの一部であり、今後もそうであり続けます」とレイシュは話します。「敷地内にはまだ数千本の木がありますが、今では大きな芝生問題を引き起こすこともありません。自然な形に成長するスペースがあり、人々はゴルフコースの成長を目にしながら、ゴルフをすることができます。「結局のところ、私たちは共存できています」

西部では
西部に目を移すと、ワシントン州タコマにあるレイクスパナウェイゴルフコースは、フェアウェイとグリーン周囲にアメリカトガサワラ(ベイマツ)が3,000本以上生えているという固有の問題がありました。一部のグリーンは、夏でも日陰に覆われていました。毎年40,000ラウンドを超える利用がある市営ゴルフコースは、侵入してくる木が、パッティンググリーンを健康な状態に維持することをますます難しくしていました。そして、発生した病気のためにいくつかのグリーンで大きな被害が発生しました。

レイクスパナウェイでは選択的な樹木の除去により、より多くの日光がパッティンググリーンの表面に届くようになった

こうした状態は、待ち望まれていた行動に移る動機づけとなるのに十分なほど危機的状況だった。「木に問題があることはわかっていました」と、スープリのトニー・ブベナスは言いました。「しかし、私たちは行動する余裕がありませんでした。グリーンがなくなる状態となり、何もしないわけにはいきませんでした。状態の悪いグリーンでは、営業面での競争に勝てません。ゴルファーは他のコースに行っていました」
ブベナスは、手頃な価格の太陽追跡アプリを使用して、除去する木の優先順位を決定しました。USGAコースコンサルティングサービスのレポートは、ゴルフ場施設を監督する郡の指導者に樹木の問題を文書化して説明するのにも役立ちます。USGAグリーンセクションは、施設が樹木の問題を特定し、芝の健康、プレイ条件、および樹木個体群の全体的な健康を改善するソリューションを開発するのに役立つように設計された専門的な樹木評価訪問を提供しています。
「明らかに、木はどのゴルフコースでも難しいテーマですが、特にワシントン州では難しい」とブベナスは話します。「あなたたちが樹木管理について、ゴルファーや一般の人々に話すとき難しく思うでしょうが、ゴルフビジネスを順調な状態にするためには木々の除去が必要であることを明確に示すことが必要でした。これは、地域公園の一部である市営ゴルフコースであるという点で、樹木は住民の最大の関心事でした」
プロの伐採会社に依頼して、問題のある緑地周辺の200本以上の木を除去しました。これらの地域では芝の状態は劇的に改善されましたが、やるべきことも多くありました。
「非常に厳しい生育環境がまだあることはわかっていましたが、すべてを一度に解決するリソースを持っていませんでした」とブベナスは言います。「過去、冬場に私たちはいくつかの濃い影が落ちるグリーンに深刻な損害が発生していました。今春には、一つのグリーンが3カ月間閉鎖を余儀なくされました。明らかに収益に影響を与えたため、別の50本の除去する木がありました」
「今後の段階では、自治体内でいくつかの素晴らしいパートナーシップを構築し、コストを削減し、公衆への利益を増やします」とブベナスは話します。「取り除かれた木の上部とすべての破片は、公園全体で使用するために木材チップにしました。下層の20フィート、切り株、根球は、河川の浸食を減らし、魚の生息地を作るために、私たちの地表水管理部門が使用します。また、ゴルフコースから除去された木の代替樹木の植林も行います」
レイクスパナウェイの芝の状態は改善し続けており、ブベナスは、樹木の除去の直接的な結果として、農薬の使用量が少なくとも30%削減されていると推定しています。レーニア山の背景が明確になり、ゴルファーは一年を通して、より良いプレイ環境を楽しんでいます。

共通する道筋
リッジウッドとレイクスパナウェイは異なる内容のゴルフ場施設ですが、樹木管理の経験には重要な類似点があります。両方とも、樹木問題に対処するために時間がかかりすぎて、結果として高額の出費を余儀なくされています。文書化と効果的なコミュニケーションが、樹木の除去に対する信頼とサポートを構築するために重要でした。おそらく最も重要な類似点は、人々が選択的に樹木を除去する利点を理解すると、サポートが増加し、追加の作業が追加されたことです。
ゴルフ場での樹木管理は関係する多くの人々を不安にさせますが、必要な行動を妨げる不快感を許すことはできません。不要な配置、また生い茂った木は、プレイアビリティや芝の管理問題から現実的な安全性への懸念に至るまで、数多くの悪い影響を及ぼします。これらの問題の特定と管理に失敗すると、樹木の森が失われる典型的なケースになりかねません。

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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