2023年4月20日
米国のゴルフ史において、ゴルフ場の供給が持続的に縮小したのは2回だけです。一つは世界恐慌と重なった時期で、もう一つは不動産市場の崩壊に始まり、大不況でさらに景気の後退が加速した時期です。
一方、供給が持続的に拡大したのは、1920年代、1960年代、1990年代の3回です。1920年代は、豊かさと憧れの時代であり、当時のジェイ・ギャツビーをターゲットにしたプライベートゴルフクラブの数が着実に増加しました。60年代は、カウンターカルチャーの時代として知られるが、ゴルフの民主化が進み、成長する中産階級の需要拡大によって、全米にパブリックコースが相次いで開発されました。そして、90年代のゴルフブームは、不動産開発とゴルフで利益を得ようとする起業家たちによってマーケットは盛り上がりました。
ゴルフの2つの縮小期は、全く異なる方法で始まり、終了しました。
世界恐慌は、アメリカ史上最大の経済的惨事でした。1930年代半ばの絶頂期には、失業率が25%に達し、仕事に従事している人でも40%以上の収入減に見舞われました。この時期はゴルフ場を含むあらゆる種類のビジネスが、前例のないほど大量に破綻したのです(NGFは、その混乱期のさなかに、ゴルフ業界の課題に対処するために設立されました)。この不況を脱するには世界大戦を必要とし(そう書いてあります。歴史観ですからそのまま訳してあります)、ゴルフマーケットが最初に経験した縮小を終わらせるには、戦後の経済復興を必要としたわけです。
2006年に始まったゴルフの二度目の供給が縮小した「リサイジング」は、今、ようやく終わりを告げようとしています。ありがたいことです。前年との比較でゴルフ場の閉鎖が注目される中、この収縮の動きをゴルフの「死の宣告」とする見方があるのは理解できることです。私たちは、いつも様々な見方をしてきました。
ゴルフの供給を客観的に、長い目で見れば、現在のゴルフは、今回の「供給調整」が始まったときよりも良い状態にあることは明らかです。
2006年以降、18ホール換算(18HEQ)にしてコース数が約2,200コース、つまり世界で最も豊かな国のゴルフ施設の全供給量の約13%の純減でした。しかし、この同じ期間がどのような状況だったかを考えてみてください:
・18ホール換算でコースが550施設以上の新しくオープンしました
・1,500施設以上で改築および、または大規模な改修工事を完了しました
・250施設以上のゴルフコースが「復活」を果たしています
なお、再建と「復活」はNGFの調査では新規コース開発として報告されていませんが、これらの多くは非常に重要で、本質的には全く新しいコースであるにもかかわらず、です。
ゴルフコースの「復活」とは何でしょうか? NGFのゴルフ施設データベースでは正式なカテゴリーではありませんが、ある施設が閉鎖された後、新たな生命を吹き込まれた事例を追跡しています(一見、永久に閉鎖されたように見えます)。代表的な例は、旧ウェストパームビーチ市営コースです。荒廃して2018年に閉鎖され、町はコンドミニアムやタウンホームにする案を提案するなどゴルフ施設をもてあそんだようにも思えます。しかし、その市有地で今週、ギル・ハンセがオーバーホールし、PGA of Americaが非営利で運営するゴルフ(実際にはゴルフパークとして)が再開されました。
もし、「ゴルフ事業はうまくいくのか」と聞かれたら、「今までの供給縮小は、ゴルフのゲームとビジネスにとって必要であり、良いことだった」と答えてください。その際、需給調整が行われた20年間に18ホール換算で5,000近い施設が追加され、長期的な観点から見ると、供給がプラスになっていることを説明してください。
また、需給バランスの改善に加えて、より質の高いコースが供給され、全体として、コースの財務状態はかつてないほど良好であることにも触れてください。さらに、ゴルフエンターテインメントやシミュレーターなど、コース以外の施設も1,000施設以上増えており、新たな参加者を生んでいます。
ゴルフマーケットの「修正」には、最初の縮小を終わらせるには世界大戦が、二番目の縮小を終わらせるにはパンデミックが必要でした。
ジョセフ・ベディッツ(Joseph Beditz)
出典:National Golf Foundation – Golf Course Supply: The Long View (ngf.org)
Reprinted with permission of NGF