テキサスA&Mアグリライフリサーチ、グリーン用のゾイシグラスの品種開発が進展
DALZ1308、ブランド名Lazer

2020年5月19日

ゲイブ・サルダナ

 テキサスA&Mアグリライフリサーチ(Texas A&M AgriLife Research)が最近リリースした最新の芝草品種は、市販されているゾイジアグラ スの中でも特にグリーンでの利用に適しているという。

 芝草育種プログラムのリーダーであるアンビカ・チャンドラ教授は「この品種は、グリーン用芝草としてゾイジアグラスの可能性を大きく前進させます」と述べています。

 Journal of Plant Registrations誌の最新号でも、DALZ 1308として開発された新品種のメリットが紹介されています。DALZ1308はブランド名「Lazer」として販売予定です。

 新品種は、ニュージーランドの固有種「Zoysia minima」とコウシュンシバ「Zoysia matrella」※を交配させて開発した第一世代交配種で、アメリカ中部のトランジションゾーンを含むアメリカ全土の様々な環境下でのグリーンに適した「超矮性」芝草といえます。

 Lazerは、ダイアモンドと比較して、葉幅が狭く、葉身が短いだけでなく、キャノピーも短い「ドワーフ」です。ダイアモンドは、従来、ゾイシア市場で入手可能な最高級芝で、アグリライフリサーチ社によって開発され品種です。

 研究試験では、Lazer はダイアモンドと比較して生育期のシードヘッド(冠毛)生産量が少ないだけではなく、コオロギに対する抵抗性を示しました。また、シュート密度も高く、秋から冬にかけて遺伝特性である中緑色を長く保つことができます。
 これまでの温室での実験では、適度な日陰条件の下で、LazerはPalisades、Diamond、Zorroと比較して、被覆率が高いことが示されています。

 また、アリゾナ、ケンタッキー、テキサスで実施された団地型芝草2013年全米芝草評価プログラムの試験によると、LazerはDiamond Zoysiaと比較してボールの転がりが優れていることも明らかになっています。この試験では、ダラスのテキサスA&Mアグリライフセンターを含む全米10カ所で試験が行われました。

 Lazerは、アグリライフリサーチが提供する最新品種としてゴルフコースのイノベーションを支えるでしょう。品種開発には15年もの時間がかかることがあります。

 チャンドラ氏は、次のように述べています。「私たちは、新しい品種のリリースの一つ一つに10年以上を費やしてきました」。それぞれの品種開発は、非常に才能ある研究者グループによる大きな成果と多くの時間を象徴するものです

 チャンドラのチームは2007年から新しい品種の生産に取り組み、1980年代からの芝草プログラムを継続しています。

 チャンドラのチームは、セントオーガスティンの芝草開発のための新しい技術のパイオニアでもあります。ダラスの芝草プログラムによって開発された次世代のセントオーガスティングラスの交配種は、この新しい技術を採用しており、染色体が2組ある「二倍体」のセントオーガスティングラスと比較して、水使用量を60~80%削減できる可能性を秘めています。ダラスの交配種は、2倍体と多倍体(2本以上の染色体を持つ)のセントオーガスティンの間で、初めての交配種です。

 さらに、芝草生産のためのその種の最初の使用では、チームは胚救出技術を採用しました。チャンドラ氏は、「これらの胚救出技術から生まれたハイブリッド種は、現在、テキサスのソッド生産者によってソッド生産テストが行われています。これらのハイブリッドが市場に出回ることで、消費者やエンドユーザーは、水とそれに伴うコスト削減から大きな利益を得ることができます」とチャンドラ氏は述べています。

 ダラスセンターの700以上のアクセプタンス(世界最大級のものの一つ)からなる芝草の遺伝的多様性は、何十万もの潜在的な交配への扉を開いています。

この能力により、チャンドラ氏のチームは、新しい品種を用いてゾイジア芝の地理的限界に挑戦することができました。例えば、新しいイノベーション・ゾイシアグラス(Z. japonicaZ. matrellaの交配種)は、北部のゴルフコースだけでなく、商業施設や住宅地の景観用途に、よりきめ細やかな葉の質感と優れた密度を提供しています。Lazerと同様に、難易度の高いトランジションゾーンでも優れた性能を発揮します。

 同時に、チームが収集した広範な生殖系のコレクションにより、Lazerの育種に使用されるZ. minimaを含む、きめの細かい、あまり利用されていないゾイジアの草種の新たな利用法を探ることができます。

 ダラスで開発されたセントオーガスティングラスの胚由来の交配種と同様に、気候に強く、資源効率に優れたゾイシアグラスの種間交配種は、水や農薬の使用量を大幅に削減します。

 チャンドラ氏は「これらの改良に対する市場の要求に応えるために、テキサスA&Mアグリライフ普及サービスと協力して、広く普及させていきます。これは、長期的に水や農薬の使用量を継続的に削減し、メンテナンスの必要性を低減し、農産物としての芝草の環境的・経済的持続可能性を高めることを意味します」とチャンドラは述べています。

LazerはサンアントニオのBladerunner Farmsから、イノベーションはSod Solutionsから購入でき、ソッドまたはプラグとして販売されています。

Gabe SaldanaはTexas A&M AgriLife Researchのコミュニケーションマネージャー

※「Zoysia matrella」:コウシュンシバは一般的にはコウライシバ(高麗芝)と言われていますが、分類上は、Zoysia pacificaがコウライシバで「キヌシバ」と呼ばれるもので、Zoysia japonicaがシバ(ノシバ)です。日本芝の学名と一般名のあるあるです。日本芝の学名と一般名のあるあるです。コウシュンシバのコウシュンは採取された台湾の高雄(Kaohsiung、台湾語:Ko-hiông)からとったものです。

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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