栽培品種、刈高、植物成長調整剤(PGR)は重要ですか?

2019年10月04日

コール・トンプソン、グリーン・セクション・リサーチ、アシスタント・ディレクター
Cole Thompson, assistant director, Green Section Research

 科学者たちは、一般的に使用されているバミューダグラスとゾイシアグラスの栽培品種について、フェアウェイとラフの刈高で1日の最低日積算光量を定量化しています(ベンジャミン・ワーリー博士)。

・テキサスA&M大学の科学者が、一般的に使用されている9種のバミューダグラスとゾイシアグラスのフェアウェイとラフでの刈高で日積算光量(DLI)の最低値を決定している。

・バミューダグラスの最低DLI閾値は、ゾイシアグラスよりも全般的に高かった。

・夏季のフェアウェイの刈高で最低DLI閾値はすべてのバミューダグラスで同様でしたが、最低DLI閾値は「TIFWAY」と「TIFGRAND」ハイブリッドバミューダグラスではラフの刈高で顕著に増加した。

・すべてのゾイシアグラス種は、夏季のフェアウェイよりもラフの刈高での最低DLI閾値が低かった。

・トリネキサパックエチニルは、夏季のフェアウェイ刈高ですべてのゾイシアグラスの最低DLI閾値を低下させた。

 

 高品質のプレイサーフェスに必要な太陽光を正確に定義することは、市販のデイリーライトインテグラル(DLI)メーターが登場する前は、より困難でした。このメーターは、毎日の太陽光によって芝草に蓄積される光合成活性放射線(PAR)の量を推定するもので、日陰管理の研究に役立つだけでなく、管理人がさまざまな芝草の立地条件を評価する際にも役立ちます。日陰管理の研究に役立つだけでなく、これらの測定器は、さまざまな芝草にとって太陽光が適しているかどうかをグリーンキーパーが評価する際にも役立ちます(芝草のDLI要件が容易に入手できる場合)。テキサスA&M大学の科学者たちは、このプロセスに情報を提供するために、一般的に使用されているバミューダグラスやゾイジアグラスの品種の最低DLI閾値を決定するための研究を行っています。

 市販のDLI計測器が登場するまでは、高品質の芝表面作りに必要な日照量を正確に定義することは困難でした。日陰地での管理の研究に役立つだけでなく、これらの測定器は、さまざまな芝草に適しているかどうかを評価する際に役立ちます(芝草のDLI値が容易に入手できる場合)。テキサスA&M大学の科学者たちは、このプロセスに関する情報を提供するために、一般的に使用されているバミューダグラスやゾイジアグラス品種の最低DLI閾値を決定するための研究を行っています。

 フィールド実験は、2016年と2017年にフェアウェイ(0.75インチ=約19㎜)とラフ(2インチ=50㎜)の刈高で実施されました。4種類のバミューダグラス品種(「ティフウェイTifway」、「ティフグランドTifGrand」、「セレブレーションCelebration」、「ラティチュードLatitude 36」)と5種類のゾイシアグラス品種(「Zeon」、「Zorro」、「Geo」、「Palisades」、「JaMur」)を全日照下で樹勢を整え、0%、30%、50%、70%、80%、90%の日陰になるような構造物の下で評価しました。実際の条件を最もよくシミュレートするために、冬の間であっても、これらの実験中は日陰の構造物を維持管理していました。このような日陰レベルの範囲で芝草の品質を評価することで、科学者たちは統計処理によって、許容可能な芝草の品質の最低値、すなわち許容可能な芝草の品質の最低DLI閾値に対応する日陰レベルを決定することができました。品種ごとに春、夏、秋の各刈高の、最低DLI閾値を計算しました。さらに、各品種と日陰レベルで組み合わせたフェアウェイプロットの半分を、生育期に毎月トリネキサパックエチルで処理することで、最低DLI閾値に対する植物成長調整剤の効果を評価しました。

 予備的な結果によると、DLIの最低閾値は季節によって異なり,夏季に最大となりました。バミューダグラスの最低DLI閾値は一般的にゾイシアグラスよりも高く、刈高やトリネキサパックエチルの散布に対しては品種ごとに反応が異なっています。バミューダグラスでは,夏季のフェアウェイの刈高での最低DLI閾値は類似しており,1日あたり1㎡あたり24~26モールのPAR値を必要とした。ゾイアグラスの品種では、フェアウェイの高さで1日あたり18~26モール/平方メートルであり、’Zeon’と’Zorro’はこの範囲の下位に位置していました。トリネキサパックエチルは、夏季のフェアウェイの刈高でのDLI閾値には影響を与えなかったのですが、ゾイシアグラス品種のDLI閾値は、夏季のフェアウェイの刈高で1日1㎡あたり15~20モールにまで低下しました。

 DLIの最低閾値の差はラフの刈高でより顕著でした。夏季のラフの刈高で「ラティチュード36」と「セレブレーション」の最低DLI閾値は、フェアウェイの刈高での閾値と類似していました。逆に「ティフウェイ」と「ティフグランド」では夏季のラフ高さでより多くのPAR値を必要としました。すべてのゾイシアグラスの最低DLI基準値は,ラフの刈高で低下し、1日に必要なPARは1㎡当たり9から14モールでした。

 これらの予備的な結果は、日陰耐性を考慮する際には、芝種だけでなく品種選択の重要性を示しており、 選抜時に考慮すべき基準を示していまする。同様に、この研究で最も顕著な違いがフェアウェイからラフカットの高さによって生じていることから、管理上の違いを見落とさないことが重要です。

 

参考文献

・Wherley, B. Z. Chen, C. Reynolds, and R. Jessup. 2018. 暖かい季節のフェアウェイ/ティーとラフの栽培品種のための最低一日の光積分要件。刈り高さと成長調節因子の相互作用. USGA Turfgrass and Environmental Research Summaries.

・Wherley, B., Z. Chen, and R. Jessup. 2017. 暖かい季節のフェアウェイ/ティーとラフの栽培品種のための最低日照積分要件。刈り込み高さと成長調節因子の相互作用. USGA Turfgrass and Environmental Research Summaries.

・Wherley, B., C. Reynolds, Z. Chen, and R. Jessup. 2016. 暖かい季節のフェアウェイ/ティーとラフの栽培品種のための最低日照積分要件。刈り高さと成長調節因子の相互作用. USGA Turfgrass and Environmental Research Summaries.

出典:https://www.usga.org/content/usga/home-page/course-care/green-section-record/57/19/minimum-daily-light-integrals.html#

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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