― 社会生活基本調査2001-2021より ―

 社会生活基本調査2021から過去20年間のゴルフ人口の変化について紹介していますが、今回は女性のゴルフ人口の変化を追いました。

 表3に過去5回の調査結果をまとめましたが、女性ゴルフ人口は2001年の227万2,000人から2021年には134万6,000人へと92万6,000人減少し、4割もの減少になっています。ゴルフ人口に占める比率も18.1%から17.4%へと構成比を下げています。先般、JGAはR&Aと共同記者発表を行い、女性のゴルフ振興支援を発表しましたが、どのような対策が打ち出されるのか期待とともにその内容が気になるところです。

 対策には対象となる女性ゴルファーの実態の把握がまず第一歩だと思いますが、20年間で4割減という実態は、JGAの強力なイニシアチブを必要としていることは間違いありません。

女性ゴルフ人口の変化

 女性ゴルフ人口の20年間の変化を図にしました。

 ゴルフ人口全体でも2001年から2006年にかけて大きく人口を減らしていますが、女性ゴルファーも2001年からの5年間で52万3,000人、23.0%と大きな減少をみ、その後は2011年に率で▲5.9%、▲11.5%、▲12.2%、▲6.9%と減少傾向が続いています。

10代の女性ゴルフ人口の変化

 10代の女性ゴルファーは10~14歳で前々回調査以降減少カーブが急角度になっています。15~19歳では2006年に大きく人口を減らしましたが、その後は40万人から50万人の人口で推移しています。女子プロの活躍は10代のゴルフ参加には大きな影響は現れていない?のか、起算人口が減少する中で安定的に推移していると捉えればいいのか、関係者の判断を聞きたいところです。

20代の女性ゴルフ人口の変化

 20代では、20~24歳で2011年調査以降、人口、参加率とも大きな伸びが見られます。5歳刻みの人口ではこの年齢層で最も多いという結果です。一方で25~29歳では2016年、21年と人口を減らしています。気になるのは参加人口が21年調査では20代前半で17万3,000人を数えていますが、後半では100万人を割り込み9万2,000人へと大きく減少している点で、20代前半人口の半数以下です。女性は結婚と子育てといった社会事情からゴルフ人口が減少する、一般的に言われているM字カーブを描きますが、女性の社会進出が増えている中での減少ですから、その原因を知る必要があります。

30代の女性ゴルフ人口の変化

 ゴルフに限らず日本における女性のスポーツ事情は結婚、育児といった環境要因を無視できませんが、社会的な要請は女性の社会進出できる環境整備であり、スポーツ振興ではその支援です。R&Aが女性と家族をテーマにゴルフ振興を提案、活動しています。冒頭でR&AとJGAの記者発表に触れましたが、R&Aは自身の活動方針に沿って、世界で第2位のゴルフマーケットである日本での女性のゴルフ進出を真剣に日本に訴えているのです。日本のゴルフ業界はこの女性進出支援に真剣に応えなくてはいけませんし、なぜR&Aが女性と家族をテーマにしているかを知る必要があります。R&Aのレポート「Women’s, Girls’ and Family Participation in Golf」(https://www.walesgolf.org/wp-content/uploads/2018/02/RA-Research-summary.pdf)をご一読ください。

 さて、30代の女性ゴルフ人口ですが、30~34歳は減少が続き30代前半の人口は7万9,000人と20代後半よりさらに少なくなっています。35~39歳は2001年以降右肩下がりで減少しており、人口はさらに少なく6万6,000人です。

40代の女性ゴルフ人口の変化

 40代は30代を人口では上回り、40代全体としては20万人以上を数えます。40~44歳の人口は11万4,000人で、2021年参加率は前回調査を0.5ポイント上回りました。45~49歳の人口は11万3,000人ですが16年の調査結果を下回っています。

50代の女性ゴルフ人口の変化

 女性の年齢層別ゴルフ人口ではこの50代で最も多く、5歳刻みでは20代前半が最も多いのですが、50~54歳は16万4,000人で、55~59歳は11万5,000人でした。傾向としては50代前半で安定的に微増傾向にあるようです。

60代女性のゴルフ人口の変化

 60代の女性ゴルフ人口は安定的ですが、60~64歳では参加率は2.5%前後を繰り返していますが、人数は2016年に10万人を割り、21年は9万4,000人になっています。65~69歳は2021年に9万8,000人と16年の11万7,000人から2万9,000人減少し、率では19.7%減と2割の減少です。

70代の女性ゴルフ人口の変化

 70代での女性ゴルフ人口は、70~74歳で増加を続けています。ただし人口は8万3,000人で、50代よりも、また60代よりも少ない。75~79歳は4万6,000人でした。

80代の女性ゴルフ人口の変化

 80代の女性ゴルフ人口は、80~84歳が2万人で大きな変化がありません。85歳以上は前回の2016年の2万5,000人から6,000人へと減少しています。年齢的な体力問題が課題として考えられますが、健康寿命の延伸という点でも健康維持のためのゴルフ環境について業界として対処すべきではないかと思います。

 R&AのWomen’s, Girls’ and Family Participation in Golfについて触れましたが、女性と家族というテーマは、英国でも家庭という視点では女性の存在が大きな意味を持っているようで、今後、ゴルフ人口を増やそうとすると「将を射んと欲せば馬を射よ」という女性ゴルファーを増やしたいな家族視点が大事ですよとターゲットの設定に見えます。また、英国でも高齢化は大きな社会課題になっています。R&Aの健康とゴルフに関する取り組みは、Golf & Health リポート(https://assets-us-01.kc-usercontent.com/c42c7bf4-dca7-00ea-4f2e-373223f80f76/b3eb44f4-d5a2-4501-87ef-6a062771addc/Golf%20and%20Health%20Report.pdf)で詳細に報告されています。是非ともこの二つのレポートに目を通されて、これからのゴルフに求められる女性参加の増加と健康というテーマへの理解を深めていただきたいと思います。減少するゴルフ人口への対策もココから見えてくると思います。

 以上、調査時点でのゴルフ人口について紹介してきました。ただこの数字から見えてこないのは、ゴルフのライフサイクルとしてのゴルフ参加状況です。例えばですが、最大のゴルフ需要層であった団塊の世代を含む層はどんな動きをしてきているのか。また、団塊の世代以降のしらけ世代や新人類と呼ばれた世代、団塊の世代ジュニアはゴルフとどんな関係性を見せているのか。同じ流れがあるのか、違った特性をそれぞれの世代に見つけられるのか、多様な側面からゴルファーを捉える必要があるように思います。この「世代」別の分析も行いたいと思います。

 社会生活基本調査には、人口だけでなく行動日数、職業、所得などの項目が設定されています。都道府県別のデータも公表されていますので是非とも総務省のホームページから令和3年社会生活基本調査(https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/index.html)に目を通していただきたいと思います。なお、月刊ゴルフマネジメント2021年11月号に概要が記事になっています。こちらもご一読されることをお勧めします。

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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