2023年8月10日

 まだピックルボールをやったことがない人も、名前くらいは聞いたことがあるだろう。50デシベルの “ポーン”という音は、アメリカで最も騒々しい……いや、最も急成長しているスポーツといわれている。成長率を見れば、確かに急成長を遂げている(2014年以降、年平均成長率18%増)。

 アメリカで最も成長しているスポーツの称号はゴルフに与えられる。より現代的で包括的なゴルフの定義を用いればそうなる。ゴルフとは、人々がクラブを振り、現実のターゲットや仮想のターゲットに向かってボールを打つ、さまざまな形の「芝地でない」参加型スポーツもある。この定義に従えば、過去8年間のゴルフの成長率は、ピックルボールを450万人も上回っていることになる。米国の半分の州は人口がもっと少ない。

 ゴルフの歴史はそれなりに印象的なのだが、ご都合主義(「ゴールポストを動かす」)と思われることを恐れ、また、オンコースとオフコースの関係がこれまではやや不明瞭なこともあり、この話題は控えめに話題にされる。

– オフコースはパイを増やしているのか?

– 市場のカニバリゼーション(共食い現象)を生み出しているのか?

– 何人のゴルファーを生み出したのか?

 最後の質問は、私たちが最もよく聞かれる内容だ。そして、それは簡単なようで、それに答えることは難しい。

 それはなぜか? ひとつには、ゴルフの参加者市場の動きを整理する分析上の課題がある。2019年にトップゴルフを経験し、2021年に初めて「ゴルフコース(緑の芝生)」を試したが、過去1年半はどんな形であれプレーしていない人をどう分類するのか? 彼らは本当に”ゴルファー”なのだろうか?

 ゴルファーであるとはどういうことなのかという哲学的な疑問にもなる。一定回数のプレーをしなければゴルファーとはならないのか? 一定額を出費しなければカウントされないのか? ゴルファーであることを認識するだけでいいのか? 現役のゴルファー(On-courseプレーヤー)の3分の1は、そんなことは考えもしていない。

 ゴルファーの創造に関して、私たちがお伝えできることは以下の通りです:

– 現在2,560万人のオンコースプレーヤーのうち、推定250万人(10%)が、ゴルフコースに行くきっかけとなったのはコース外での経験だと考えている

– オンコース参加者の約半数が、オフコースでゴルフに「再挑戦」したことを認めている

– ゴルフコース以外でのゴルフ経験を持つ「非ゴルファー」は、そうでない人に比べ、伝統的なゴルフを始めることへの関心が5倍高い

– 現在のゴルフコース初心者の約3分の2がコース以外での経験を持ってコースに来ている

 両方の施設形態で順調な状況もみられる。

* 過去12カ月間に1ラウンド以上プレーしたアメリカ人(6歳以上)の人数(傾向線)
† 過去12カ月間にコースでプレーしなかったが、現在はゴルフプレーに「非常に興味がある」アメリカ人(6歳以上)の人数(傾向線)
‡ トップゴルフの施設数に基づくトレンドライン。ゴルフコース以外におけるゴルフ参加需要の指標として使用

 このテーマに関する我々のチームの広範な調査から、いくつかの結論が導き出された:

 第一に、パンデミック前の安定したマーケットも、パンデミック後のゴルフコース参加者の成長も、「芝生のない」ゲームの触媒効果なしにはありえないということだ。実際、ゴルフコース以外の施設の供給が主要市場全体で「臨界点」に達したことから、オンコースでの需要がようやく転換期を迎えたことに注目したい。

 第二に、これは多くの人が恐れていたようなゼロサムゲームではなく、ゴルフに関連する時間、注意力、資金が単に一方から他方へ再配分されるだけのことだ。どちらかといえば、ゴルフ全体のパイは大きくなっており、ゴルフは全体として、他のレジャーから希少な資源を吸い上げているようだ。

 最近の検索では、グーグルのニュースアグリゲーターは、”アメリカで最も急成長しているスポーツ”を含む300の記事(すべてピックルボールに関するもの)を表示したが、”ゴルフ、アメリカで最も急成長しているスポーツ”に関するものはほとんどなかった。

 それは私たちが伝えるべき話だ。だから、それを伝えよう。

Reprinted with permission of NGF

出典:https://www.ngf.org/the-largest-growing-sport-in-america/

David Lorentz

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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