スティンプメーターで計測される距離について、ゴルファーは、ボールの転がる距離の差が6インチ以下の時だけ認識している
ダグラス・カーチャー博士、ソーン・ニコライ、ロン・カルフーン
Golf Course Management 2001年3月号掲載
1978年、USGAは36州(1)の約1,500のゴルフコースからグリーンスピードの測定値を集め、各加盟コース(4)にスティンプメーターを配布した。調査から得られた測定値から、通常のプレーとトーナメントプレーにおけるグリーンスピードを評価するための参考表が作成されました(1)。USGAは、この情報が悪用され、問題を引き起こすかもしれないと考え、表の公開に苦慮しました(3)。
実際、スティンプメーターが公表されたことで、トーナメントでのグリーンスピードを日常的に維持するために、刈高を低くし、ダブルカットや肥料の散布量を抑える管理方法が奨励されました(3)。これは、スティンプメーターとグリーンスピードテーブルの意図された使い方ではなく、ゴルフコースのパッティングサーフェスと管理者へのストレスを増大させる結果となりました。
USGAが推奨するグリーンスピードを表に示します。通常のプレーにおける速いスピード(8フィート6インチ)はトーナメントプレー用のミディアムボールロール距離とみなされることに注意してください。グリーンスピードの変更はすべて1フィート刻みですが、これはグリーンスピードが互いに約6インチ以内であれば一定とみなされるからです(2)。しかし、グリーンスピードの変化を検出する能力が比較される元(対象)のスピードに依存するかどうかは決定されていません。つまり、平均的なゴルファーは、5フィート6インチと6フィート6インチのグリーンスピードの速さの差を気づくことができますが、同じゴルファーが、9フィート6インチと10フィート6インチの間にグリーンスピードの変化を気づくことができるでしょうか? この質問に対する答えには、ゴルフコース管理者が、生長期間を通じて芝へのストレスを最小限に抑えながら、平均的なゴルファーが認知できる最大のスピードを維持できるStimpmeterで計測されたスピードの範囲内でパッティンググリーンを管理できるようになるかもしれない重要な情報が含まれています。グリーンスピードの認知研究はこの疑問に答えるために計画されました。
実験方法
1999年春、ミシガン州立大学ハンコック芝草研究センターのペンクロス・クリーピングベントグラス(Agrostis palustris)のグリーンに実験エリアを設けました。この区域はグリーンの対に区分けされ、各グリーンはStimpmeterの速度が6インチか12インチの差が出るように管理されました。個々のグリーンの大きさは約3フィート×15フィートです。
各組のグリーンのStimpmeterのスピードの差は、速くなるエリアはローリングとダブルカットによって作られました。さらに、対の各グリーンは3/16インチ、5/32インチ、1/8インチの高さで刈られ、幅広い範囲のStimpmeterのスピードを作り出しました。1/8インチで刈られたグリーンでは傾斜が一定でなく、12インチのグリーンスピードの差はうまく出ませんでした。その代わり、これらのグリーンでは3インチ、6インチ、30インチのグリーンスピードの差が生じました。
ハンコック芝草研究センターで行われた研究フィールドデーに参加した芝草業界の専門家が、グリーンスピード認知研究にボランティアとして参加しました。カップは各グリーンの端から約3フィートのところに切られ、パッティングエリアは各グリーンの反対側の端から1フィートのところに置かれました。ハンディキャップが0から30以上までの30人以上のゴルファーが、1対のグリーンで3回パットを試み、直ちに速いほうのグリーンを選ぶように指示されました。
参加したゴルファーは実験区のすべてのグリーンでパットをし、ゴルフ経験やハンディキャップは、より速いグリーンを検出する能力と相関がなかったため、以下の結果は研究に参加した全員を平均したものです。
試験結果
ある2組のグリーンについて、速い方のグリーンを認知できたゴルファーがいなかったとしても、半数(50%)のゴルファーは確率的に推測で速い方のグリーンを正しく選ぶと予想されます。したがって、50%以下のパーセンテージは、参加者が正しく選択できないことを示すことになります。統計的な観点からは、70%以上のゴルファーが速いグリーンを正しく選択すれば、パッティング中に速いグリーンを認知できるという前提が受け入れることになります。
グリーンスピードの差が6インチ以下であれば、ゴルファーは刈高に関係なく、速いグリーンを検出することはできませんでした。従って、管理人がパッティンググリーンの速度を6インチ以下で速くすることは、ゴルフ客には今日のグリーンは速いと気づかれず、特に真夏には芝に過度のストレスを与える可能性があります。
逆に、ゴルファーがグリーンにおけるスピードの差を12インチも感じ取れるかどうかは、刈高に左右されました。比較的高い刈高(3/16インチ)では、81%のゴルファーが速いグリーンを正しく選びましたが、低い刈高(5/32インチ)では68%しか正しく選ばなかった。残念ながら、1/8インチの刈り高さではこの傾向を検出することができませんでした。なぜなら、その高さでは12インチのスピード差があるグリーンの区がなかったからです。しかし、ゴルファーの97パーセントがより速いグリーンを選んでいることから、1/8インチの刈高では30インチのグリーンスピードの差をゴルファーが認知できることがわかります。
結論
この調査から、平均的なゴルファーのグリーンスピードの変化を認知する能力は、グリーンスピードの差だけでなく、元のグリーンスピードの大きさにも依存することが明らかになりました。平均的なゴルファーはグリーンスピードの6インチの変化を認知することができないようです。したがって、グリーンにおける6インチの変化は、おそらくゴルフコース上の一貫性の公正な定義です。
元のグリーンスピードが比較的遅い場合には12インチの変化を検出することができますが、元のグリーンスピードがUSGAのレギュラー会員プレーの基準からトーナメントプレーの基準まで速くなると検出されにくくなります。”このことから、スティンプメーターで測定したグリーンスピードが9インチ以上になると、1フィートのグリーンスピードの変化は平均的なゴルファーに気づかれる可能性が低くなると結論づけられます。この研究では、ゴルファーが1インチ増加するグリーンスピードを認知できなくなる正確なグリーンスピードを決定するのに十分なデータがありませんでした。今後のグリーンピードの認知研究では、この要素をより詳しく調べることになるでしょう。
最後に、ゴルファーがプレー中にグリーンスピードの変化を認知することがしばしば困難であることは明らかです。これはおそらく、パッティングストロークに固有のばらつきと、パターの中心からうぇあずかにずれたパットによって生じるボールの転がりのばらつきの結果でしょう。この説明は、パッティンググリーンのスピードに関する苦情の多くが、比較的スコアの悪いラウンドの後に起こるという認識を補強するものです。
著者:
ダグラス・カーチャー博士はアーカンソー大学フェイエットビル校園芸学部芝草科学助教授
ソーン ニコライとロン・カルフーンは、ミシガン州立大学イーストランシング校作物土壌科学科の芝草研究技術者