2023年9月7日

 今日、ゴルフ業界ではあまり開発が活発でない印象があるが、明らかにそうではありません。コース設計者は数百件ものコース改修やコース再生(閉鎖されたコースを復活させること)に忙しく、新規コースも散見される。さらに、伝統的なゴルフ場以外のゴルフ・エンターテインメント施設の開発も加わり、ゴルフの供給が止まっているわけではないことはお分かりいただけるでしょう。

 伝統的なゴルフコースに関しては、現在建設されている施設内容は1990年代後半から2000年代前半の開発ブームの時とは異なっています。この10年間で、高級プライベート・クラブの数が供給過多になり、デスティネーション・ゴルフ(施設)が台頭し、高級ショートコースが出現してきています。

「デスティネーション・ゴルフ」という言葉は、ゴルフ用語としては比較的新しいもので、ゴルフをプレーするために「遠出」するのに値する場所を表す一般的な名称になっています。NGFでは、「デスティネーション・ゴルフ」を二つのカテゴリーに分類しています:

 ゴルフ・デスティネーション、それは地理的には、ゴルフが盛んな地域と定義されることで知られますが、それ以外にも観光地を控えた見どころや楽しみどころ、食事や宿泊に適した場所が定義に当たります。マートルビーチ、パインハースト、パームスプリングス、南フロリダなどがそうであり、アメリカ国外では、アイルランド南西部、スコットランド、ベトナムなどが挙げられます。

 そして、デスティネーション・ゴルフとは、これらの施設がゴルフに特化しており、ゴルフで訪れることを一番の理由にしている施設です。ゴルフをプレーし、友人と過ごすために滞在するゴルフ施設です。サンド・ヒルズは、1995年にネブラスカ州西部の起伏に富んだ人里離れた場所にオープンし、このムーブメントの先駆けとなったコースです。バンドン・デューンズ、キャボット、サンド・バレー、ストリームソング、ギャンブル・サンズのような参入が、リゾートの分野で続いきました。プライベートコースでは、Ohoopee Match Club、Ballyneal、そして最近ではミネアポリスから西に2時間ほど行ったところにあるTepetonkaなどがあります。

ショートコースの復活

 最近、ショートコースの復活が目立っています。1990年代と比べると、「距離の短い」ゴルフ施設への関心が高まり、開発への動きが見られます。これらの新しい9ホールのコースやパー3、エグゼクティブレングスのコースは、プロフェッショナルな設計、より質の高い芝やコンディショニング、そして多くの場合他の施設より高いグリーンフィーなど、一般的により高品質な施設であるという点で、旧来のコースとは異なっています。

今後の見通し

 伝統的なゴルフコース全体の供給量は、今後5年から10年の間にそれほど大きく変化することはないと思われます。施設所有者の中には、土地がより高く、より良く利用されることを認識し、再開発のためにゴルフ場が売却されるケースは今後も続くとも見られます。その一方で、新しいコースのオープンも続くでしょう。

 同時に、従来とは異なるゴルフ施設の開発が減速することはないでしょう。多くの経営者はこのカテゴリーに「潜在需要」を見出し、今後5年以上の積極的な発展を計画しています。私たちの調査によると、これらの施設は伝統的なグリーングラス・ゴルファーのためのインキュベーター(企業支援)であるため、これは伝統的なゲームにとって良いことです。

 今日のゴルフ施設開発は、1990年代に供給拡大に拍車をかけた不動産主導型モデルとは大きく異なっています。ブームではないが、過去10年から20年の間に質を向上させた新しいコース、改築、改装されてきた結果、伝統的なゴルフ自体がより良くなっています。

ジョセフ・ベディッツ(Joseph Beditz)

Reprinted with permission of NGF

出典:https://www.ngf.org/golf-course-supply-no-boom-but-better/

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください