年齢別・性別参加率でみる現状と課題

 ゴルフ参加率について「まとめ1」で紹介しました。本稿では年齢別(10歳刻み)のゴルフ参加率について整理しました。若年層でゴルファーが増えているとか、高齢者層の利用は増えている? 減少しているのかと議論の対象となる参加率です。参加率が高ければ、量としての人口も多いはずですから、参加率を高くしたい、と思いますよね。日本の人口が減少していますから、ゴルフ人口という量を確保しようとすると参加率を高くする「必要がある」となります。ゴルフ場の利用者数は人口×利用回数ですから、ゴルフ振興は、量としては人口と利用回数という二つの数から考えなくてはいけないということです。

 次の表はゴルフコース参加率を年齢別にまとめたものです。別項でゴルフ参加率の精度についてまとめてありますから、そちらの記事も読んでいただきたいのですが、ゴルフ参加率についてはサンプル(回収)数が2022年は4万件に増え、2万人でも精度は高かったのですが、更に、少しですが、高くなり結構な確率で正しいと思われる数値といえます。ところが、ゴルフ経験者だけをピックアップするとその数は、ゴルフコースは2,549件で、ゴルフ練習場は2,158件です。ゴルフ参加率は4万人のサンプルから算出していますから誤差はコンマ以下と考えられますが、千単位のサンプルから推計する、例えば今回の年齢別参加率は、誤差が2~3%あることを前提に推計しているということになります。この点を含みおいて本稿の年齢別参加率を見てください。

 表から数字を追うよりグラフにした方が分かりやすいですから、年齢別の参加率を折れ線グラフにしました。

 10代は18歳と19歳だけが対象です。2020年が2%と過去5年間で最も高かったのですが、平均で10代の参加率は1%ほどです。10代の参加率は、今後もこの程度と思われます。もちろん何らかの対策が講じられれば、この数値は変化するはずです。

 最近、増えたのではと言われる若年層の参加率はどうでしょう。20代は4%前後の参加率で推移していることが分かります。ラウンド回数は分かりませんが、参加率で見る限り大きく増えているわけではないようです。30代はどうでしょう。2021年に5.6%を記録しましたが、22年は4.6%と1ポイント下げています。男女合計の参加率ですから、性別で分けると違う動きが見えるのですが、男女の区別なしの場合では、若いとされる世代での「増えた」という動きは見られません。

 40代は5.5%で前年より0.9ポイント増えています。50代は6.2%で変化なし。60代は1.4ポイント高くなり9.1%と年齢別では、70代の8.5%を押さえて最も参加率が高くなっています。70代は前年より1.1ポイント下げていますから、団塊の世代を含む年齢層で参加率の低下は気になるところです。そして全体を見ていただければわかりますが、5年間の動きは参加率を下げる傾向が読み取れます。唯一60代が過去4年間の参加率低下から一転、増加となっています。2021年のゴルフ場の利用者数が10%の2桁増を記録しましたが、参加率から見る限り人口が増えた結果ではなく、利用回数を増やしたことが原因と推測されます。

 ゴルフ練習場ではどうでしょう。ゴルフコースと似た傾向になっています。伸びているかなと思われるのは60代ですが、経過観測が必要です。10代で21年までグングン(?)と増えてきた参加率ですが、22年は下げています。女子プロ人気が云われているだけに気になりますね。この数字については、ゴルフ練習場の性別・年齢別で少し違う動きを見つけることになります。

性別・年齢別参加率はどう変化しているのか

 他でも書きましたが、ゴルフ人口の8割が男性ですから、男性の傾向が全体の傾向として現れます。女性が増えればゴルファー像は間違いなく変わることになります。

 まずゴルフコースでの男性の年齢別参加率の傾向は、次の表と図で説明します。

 といっても図からも一目瞭然です。全体の参加率の動きと同じです。説明がダブりますので男性については省略します。では女性はというと、気になるのは70代の参加率が1.1ポイントも下がり2.1%になっている点です。男性ではかろうじて70代の参加率が60代を上回っていましたが、女性は60代が2.7%で70代の参加率を上回っています。健康寿命の延伸にゴルフが寄与できるのですから、女性の70代の参加率低下は対策が必要ということです。60代は2年連続で上昇中で、40代の女性が60代と同じ動きを見せている点も注目されます。ここは女性がゴルフを継続できるサポートがポイントになります。Tee it Forwardの普及がまず対策として浮かびます。スムーズなプレー進行については、R&AのPace of Play Manualなどを参考にしてください。女性10代の18年と20年は有効なデータがなかったので、グラフ上ではゼロですが、統計上の0ではありません。

 ゴルフ練習場での参加率ですが、男性はゴルフコースと同じような傾向で、ここでも60代と70代で参加率が入れ替わって、60代が70代を上回っています。そして10代で参加率が2年連続で低下していますが、20代も同じように2年連続で下げています。日本の人口が減少する中で若年層対策は重要です。ゴルフ練習場での調査が必要な気がします。

 女性のゴルフ参加率で70代の参加率が低い点が特徴になっています。22年のアンケート結果に限れば、70代女性の参加率は最低の参加率です。70代は、ゴルフ練習場に対する興味が薄いようです。年齢やこれに伴う体力を考えると、ゴルフ+αの提案が求められているようです。ところで、この70代の参加率を上回ったのが10代です。女子プロ人気が影響していると考えるのが理解しやすい分析かもしれませんが、確定的な要因は分かりません。18年と20年はゴルフコースと同様に有効なデータがなかったことからグラフ上は0ですが統

スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」のまとめ1 | Japan GOLF INDUSTRY NEWs (xdomain.jp)

By 喜田 任紀

月刊ゴルフマネジメント前編集長、一般社団法人関東ゴルフ連盟グリーン委員会参与

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